朝日日本歴史人物事典 「懐義」の解説
懐義
鎌倉中期の曹洞宗の尼。はじめ達磨宗の覚晏の弟子であったが,文暦1(1234)年孤雲懐奘らの同門と共に,京都深草興聖寺の道元のもとを訪れてその弟子となった。寛元1(1243)年に道元が越前(福井県)に移るのに従い,以後永平寺内に住した。その間,亡母の忌日に際して道元に供養を請うたときの語が残されているほか,道元が死期を悟って弟子の徹通義介に後事を託したときも,障子を隔てて承ったと伝えられているように,教団内部で重きをなすとともに,道元の身の回りの世話をする存在でもあったらしい。<参考文献>『永平広録』『永平開山御遺言記録』『建撕記』,曹洞宗尼僧史編纂会編『曹洞宗尼僧史』
(牛山佳幸)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報