懸銭(読み)かけぜに

改訂新版 世界大百科事典 「懸銭」の意味・わかりやすい解説

懸銭 (かけぜに)

一般には頼母子(たのもし),無尽(むじん)といった中世の貨幣融通方式において,この組織(講)に参加する人々(講衆,衆中)が,寄合ごとに持ちよる少額の出資金の意。また一方では,博奕ばくえき)(賭博),連歌会,茶寄合などの勝負事に際して賭ける銭をも意味した。このほかにまた荘園領主が領民に対して臨時的に賦課徴収する銭も懸銭といった。〈かけせん〉ともよむ。中世,とくに鎌倉時代後期以後,貨幣流通が相当広く浸透した結果,あらわれてきた用語である。頼母子,無尽に採用されたくじ引きや入札にしろ,勝負事にしろ,神仏その他に自己の願いを託し(懸ける,賭ける)て,結果を神仏その他超越者の意志として受けとる性質をもっており,単に賭け事を好むだけでなく,積極的にこれを是認し楽しむ中世の人々の精神性の一端を表している。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

普及版 字通 「懸銭」の読み・字形・画数・意味

【懸銭】けんせん

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