成り返る(読み)ナリカエル

デジタル大辞泉 「成り返る」の意味・読み・例文・類語

なり‐かえ・る〔‐かへる〕【成り返る】

[動ラ四]
もとのようになる。もとどおりになる。
「今めかしくも―・る御有様かな」〈・若菜上〉
裏返る。ひっくり返る。
「さを鹿のしがらみふする秋萩下葉や上に―・るらむ」〈拾遺・雑下〉
すっかりその状態になりきる。
「頼政卿はいみじかりし歌仙なり。心の底まで歌に―・りて」〈無名抄

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「成り返る」の意味・読み・例文・類語

なり‐かえ・る‥かへる【為返・成返】

  1. 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙
  2. うらがえる。ひっくり返る。
    1. [初出の実例]「さをしかのしがらみふするはぎなればしたばやうへになりかへるらん」(出典:桂宮丙本忠岑集(10C前))
  3. その状態になりきる。
    1. [初出の実例]「我宿もあられふりしく時はみな玉のうてなになりかへるめり」(出典:相模集(1061頃か))
  4. もとのようになる。再び旧に復する。もとどおりになる。
    1. [初出の実例]「大将殿のつくり磨き給はむにこそは、ひきかへ、玉の台にもなりかへらめ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)蓬生)
  5. 信奉していた宗教を捨てる。宗旨にそむく。背教する。〔日葡辞書(1603‐04)〕

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