戯・狂(読み)たわる

精選版 日本国語大辞典 「戯・狂」の意味・読み・例文・類語

たわ・る たはる【戯・狂】

〘自ラ下二〙
① 遊び興ずる。無心に遊ぶ。たわむれる。
古今(905‐914)雑体・一〇一七「秋くれば野べにたはるる女郎花(をみなへし)いづれの人かつまで見るべき〈よみ人しらず〉」
② 本気でなく行なう。いたずら心でする。ふざける。
源氏(1001‐14頃)藤裏葉「おほやけざまは少したはれて、あざれたる方なりし」
異性にみだらな行為をする。男女がいちゃつく。浮気心で男女が関係する。
万葉(8C後)九・一七三八「斯く迷(まと)へれば うちしなひ よりてそ妹は 多波礼(タハレ)てありける」
④ 他を忘れて一途にそれにふける。おぼれて馬鹿のようになる。熱中する。多く色恋におぼれる意で用いる。〔名語記(1275)〕
徒然草(1331頃)三「ひたすらたはれたる方にはあらで、女にたやすからず思はれんこそ、あらまほしかるべきわざなれ」

たわれ たはれ【戯・狂】

〘名〙 (動詞「たわる(戯)」の連用形名詞化)
① たわむれること。遊ぶこと。いたずら。
※俳諧・三冊子(1702)わすれ水「句は天下の人にかなへる事は安し。〈略〉人のためになす事に侍らばなしよからんと、たはれの詞有」
② 遊びで異性に接すること。浮気。放蕩遊蕩
※栄花(1028‐92頃)様々のよろこび「いとどいみじきものにおぼしながら、なほ御たはれはうせざりければ」

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