女郎花(読み)オミナエシ

デジタル大辞泉 「女郎花」の意味・読み・例文・類語

おみなえし〔をみなへし〕【女花】

スイカズラ科多年草。日当たりのよい山野に生え、高さ約1メートル。葉は羽状に裂けていて、対生する。夏の終わりから秋に、黄色の小花を多数傘状につける。秋の七草の一。漢方で根を敗醤はいしょうといい、利尿剤とする。おみなめし。 秋》ひょろひょろと猶露けしや―/芭蕉
かさねの色目の名。表は縦糸が青、横糸が黄、裏は青。または、表は黄、裏は萌葱もえぎ。7、8月ごろに用いる。
[類語]男郎花おとこえし

おみなめし〔をみなめし〕【女花】

オミナエシ別名
[補説]曲名別項。→女郎花

おみなめし【女郎花】[謡曲]

謡曲四番目物。旅僧が山城男山の麓に来かかると、小野頼風夫婦の霊が現れ、邪淫の悪鬼に責められていることを語る。

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精選版 日本国語大辞典 「女郎花」の意味・読み・例文・類語

おみな‐えしをみなへし【女郎花】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「おみなべし」とも )
  2. オミナエシ科の多年草。各地の日当たりのよい山野に生える。秋の七草の一つ。茎は直立して高さ〇・六~一メートルくらいになる。葉は対生し、長さ六~一二センチメートルの長楕円形で羽状に分裂する。夏から秋にかけて、枝の先端部に黄色の小さな花が多数、密に集まって咲く。根を煎(せん)じたものは吐血、鼻血などに薬効があるという。漢名は黄花龍芽で、敗醤オトコエシの漢名。おみなし。おみなめし。ちめぐさ。あわばな。《 季語・秋 》
    1. [初出の実例]「秋の田の穂向き見がてりわが背子がふさ手折(たを)りける乎美奈敝之(ヲミナヘシ)かも」(出典:万葉集(8C後)一七・三九四三)
  3. (かさね)の色目の名。表が黄、または、経(たていと)が青で緯(よこいと)が黄、裏は青。秋に着用する。おみなえしいろ。
    1. [初出の実例]「紫苑(しをん)色の花やかなるにをみなへしの織物と見ゆる重なりて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)東屋)
  4. 女性のたとえ。歌に詠まれることが多い。
    1. [初出の実例]「名にめでて折れる許(ばかり)ぞをみなへし我落ちにきと人に語るな〈遍昭〉」(出典:古今和歌集(905‐914)秋上・二二六)
    2. 「をみなへし、女にたとへてよむべし」(出典:能因歌枕(11C中))
  5. (あわ)、または粟餠をいう女房詞
    1. [初出の実例]「あだ名のみ種々にいはれの野べの露 萩のもちなしをみなへしなら」(出典:俳諧・宗因千句(1673)上)

おみなめしをみなめし【女郎花】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 植物「おみなえし(女郎花)」の異名。《 季語・秋 》
      1. [初出の実例]「古寺の、庭の浅茅生、女郎花(をみなめし)刈萱面影移らふ、露の間に」(出典:謡曲・芭蕉(1470頃))
    2. (あわ)、または、粟めしの女性語。近世を通して上流家庭で用いた。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  2. [ 2 ] 謡曲。四番目物。各流。作者未詳。古名「頼風」。石清水八幡のふもとの男塚女塚に葬られている小野頼風と妻の霊が、邪淫の悪鬼に責められていることを語る。

女郎花の補助注記

中世の「をみなべし」の変化形。室町頃から多用された。


じょろう‐かヂョラウクヮ【女郎花】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 植物「おみなえし(女郎花)」の異名。《 季語・秋 》
    1. [初出の実例]「盛ふけたる女郎花の」(出典:車屋本謡曲・姨捨(1430頃))
  3. 植物「もくれん(木蓮)」の異名。〔薬品手引草(1778)〕

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動植物名よみかた辞典 普及版 「女郎花」の解説

女郎花 (オミナエシ・オミナシ;オミナベシ;オミナメシ;ジョロウバナ)

学名:Patrinia scabiosaefolia
植物。オミナエシ科の多年草,園芸植物,薬用植物

女郎花 (ジョロウバナ)

植物。モクセイ科のつる性常録低木,園芸植物,薬用植物。マツリカの別称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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