手水屋(読み)ちょうずや

改訂新版 世界大百科事典 「手水屋」の意味・わかりやすい解説

手水屋 (ちょうずや)

神社・寺院への参拝者が手水を使うための施設。寺社の参道脇や堂(社殿)前に建てられ,中に手水鉢,水盤を据える。手水舎とも書き,手水所(ちようずどころ),水盤舎(すいばんしや),水屋(みずや),水屋形(みずやかた)とも呼ぶ。ふつう四隅の柱を上方で平面中心方向へ傾斜させる,すなわち四方転び(しほうころび)の4本柱とし,四方吹放ちとする。屋根は切妻,入母屋などが多いが,日光東照宮の水盤舎(国宝)のように,大きな唐破風(からはふ)をかけたものもある。手水鉢には鎌倉時代の銘をもつものがあるが,手水屋には古いものが現存しない。ただ13世紀成立とされる大原本《西行物語絵巻》には,熊野への途次に西行が立ち寄った八上の社の場面に,板葺きの粗末な手水屋が描かれている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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