打渡(読み)うちわたし

精選版 日本国語大辞典 「打渡」の意味・読み・例文・類語

うち‐わたし【打渡】

  1. [ 1 ] 〘 副詞 〙 ( 多く、「橋」「かく」の縁語として用いられる )
    1. ずっと長い距離、長い時間にわたって。
      1. [初出の実例]「うちわたし長き心は八橋のくもでに思ふことはたえせじ〈よみ人しらず〉」(出典:後撰和歌集(951‐953頃)恋一・五七〇)
    2. おしなべて。すべて。おおかた。
      1. [初出の実例]「うちわたしよにゆるしなき関川を見なれそめけん名こそ惜しけれ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)宿木)
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙
    1. 中世、引付頭人や管領の命令および守護の伝達命令に従って、守護代や代官などが所領所職を現地で正当な知行人に引き渡すこと。
      1. [初出の実例]「参貫文南部庄守護打渡之時下禅教房請取在之」(出典高野山文書‐建武元年(1334)一二月日・南部庄年貢未進注進状)
    2. うちわたしじょう(打渡状)
      1. [初出の実例]「打渡の事、遵行を受て守護代より地下え下す状なり」(出典:簡礼記(室町)四)
    3. 戦国大名家臣に所領を宛行なうにあたり、代官より現地を知行人に引き渡すこと。
      1. [初出の実例]「可相懃旨候、仍打渡如件」(出典:出雲国造家文書‐天正一九年(1591)一二月八日・毛利家奉行連署宛行状)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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