精選版 日本国語大辞典 「打渡」の意味・読み・例文・類語
うち‐わた・す【打渡】
〘他サ四〙
① (「うち」は、馬を進ませるの意) 渡り越す。乗り越える。
② 打ちならべる。かけわたす。はりめぐらす。
③ (「うち」は接頭語) ずっと見渡す。
※古今(905‐914)雑体・一〇〇七「うちわたすをちかた人にもの申すわれそのそこにしろくさけるはなにの花ぞも〈よみ人しらず〉」
④ 打渡し(二)①を実行する。
うち‐わたし【打渡】
[1] 〘副〙 (多く、「橋」「かく」の縁語として用いられる)
① ずっと長い距離、長い時間にわたって。
※後撰(951‐953頃)恋一・五七〇「うちわたし長き心は八橋のくもでに思ふことはたえせじ〈よみ人しらず〉」
② おしなべて。すべて。おおかた。
[2] 〘名〙
※高野山文書‐建武元年(1334)一二月日・南部庄年貢未進注進状「参貫文南部庄守護打渡之時下禅教房請取在レ之」
※簡礼記(室町)四「打渡の事、遵行を受て守護代より地下え下す状なり」
※出雲国造家文書‐天正一九年(1591)一二月八日・毛利家奉行連署宛行状「可レ被二相懃一旨候、仍打渡如レ件」
うち‐わた・る【打渡】
〘自ラ四〙 (「うち」は接頭語)
① こちらから向こうへ橋や川などを越えて行く。
② 通る。行く。来る。
※蜻蛉(974頃)上「夜中あか月とうちしはぶきて、うちわたるも、きかじとおもへども」
③ 二つ以上の事物にまたがる。
※史記抄(1477)一二「秦の地が天下に横て、東海と西海とにうちわたってあらうぞ」
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