打違(読み)うちちがえる

精選版 日本国語大辞典 「打違」の意味・読み・例文・類語

うち‐ちが・える ‥ちがへる【打違】

〘他ア下一(ハ下一)〙 うちちが・ふ 〘他ハ下二〙 (室町頃からヤ行にも活用した)
① 刀などの武器で打ち合う。互いに戦い合う。
太平記(14C後)一六「此勢にかかり、懸ては打違(チガヘ)て死(ころ)し」
日葡辞書(1603‐04)「Vchichigaye, yuru, eta(ウチチガユル)
② (「うち」は接頭語) 交差させる。すじかいにする。
※金刀比羅本保元(1220頃か)上「小長刀を二うちちがへて」
仮名草子東海道名所記(1659‐61頃)六「又はうちちがへて重ね着たる小袖をも、今は引替へて」
③ 打つことをまちがえる。うちそこなう。
浄瑠璃・東海道七里艇梁(1775)三「時計の仕懸を一時遅く、打違へ為せたは細川謀らひ」

うち‐ちが・う ‥ちがふ【打違】

[1] 〘自ワ五(ハ四)〙
① (「うち」は接頭語) 互いに交差する。十字の形になる。
② (「うち」は接頭語) 行き違いになる。道をよける。
極楽寺殿御消息(13C中)一一条「道をゆかんに、さるへき人の逢たらん時は、いまたちかつかさらんさきに、打ちかふへし」
③ (「うち」は接頭語) 逆になる。
※広本拾玉集(1346)二「うちちかふおやこながらのすがたこそ昔をさとるはしとなりけれ」
④ 打ちまちがう。
[2] 〘他ハ下二〙 ⇒うちちがえる(打違)

うって‐ちがい ‥ちがひ【打違】

〘名〙
① たがいちがいにすること。交互
歌舞伎盲長屋梅加賀鳶(1886)七幕「ト是れにて手先の一、箒尻を二本出し、よき所へ打(ウ)って違(チガ)ひに置き」
② 三味線演奏法の一つ。打合(うちあわせ)の演奏のとき、強拍部と弱拍部とを交替して合奏すること。

うち‐ちがい ‥ちがひ【打違】

〘名〙
十字形に交差すること。また、その形。ぶっちがい。すじかい。うちかい。
随筆耳嚢(1784‐1814)六「右拍子木の打違ひは、川除の具を略し用たるなるべし」
② まちがって打つこと。また、そのもの。「電報のうちちがい」

ぶっ‐ちがえ ‥ちがへ【打違】

※いさなとり(1891)〈幸田露伴三五「交叉(ブッチガヘ)になりたる箸の〈略〉見悪さ」

ぶっ‐ちがい ‥ちがひ【打違】

〘名〙 十字形に交差すること。互いに交差すること。すじかい。ぶっちがえ。うちちがい。
滑稽本八笑人(1820‐49)二「後ろ合せに、〈略〉首がぶっちげへになるだらう」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報