帯の下部に添えて締める装飾用の細い帯。布地は金襴(きんらん)、錦(にしき)など華やかな色板の織物で、幅約5センチメートル、丈約265センチメートルの絎帯(くけおび)。花嫁衣装、女児7歳の祝い着に用い、後ろ脇(わき)で小さく文庫に結ぶ。抱え帯は、初め実用的着装に用いられた幅の狭い帯である。初期小袖(こそで)は対丈(ついたけ)であったが、元禄(げんろく)から享保(きょうほう)(1688~1736)にかけて身丈が長くなり裾(すそ)を引くようになった。外出時は裾を引かないように手で持ち上げていたが、帯幅が広くなるにつれて、小袖の丈の長い分を帯の下でたくし上げ、柔らかい布または細い絎帯で締めるようになった。これは外出時に限って現在の腰紐(こしひも)と同じ目的で用い、屋内では取り外した。細い絎帯を抱え帯といい、おはしょりが固定化してからは形式的装飾用として用いられるようになった。
[藤本やす]
…しごいて締めるところから名付けられた。江戸時代,対丈(ついたけ)であった女物の小袖の丈が長くなるにつれ,腰の部分をたくしあげて歩きやすいように固定するために用いられ,抱帯(かかえおび)ともいった。明治以降,お端折(はしより)をする着方に変わると,腰紐を使うようになり,礼装用の装飾としてのみ残った。…
※「抱え帯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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