和服を着装した姿をいう。和装の中心は長着と帯である。和服の一具は足袋(たび)、肌襦袢(はだじゅばん)、裾除(すそよ)け、長襦袢、長着、帯、小物一式であり、男子の場合は長襦袢、長着、角帯、袴(はかま)、羽織が一式である。なお外衣としてコートがあり、履き物に草履(ぞうり)、下駄(げた)がある。長着の前合わせが開かないように帯を締めたのであるが、帯は装飾的価値をもつようになり、実用を兼ねるとともに、その結びが極端なまでに発展した。長着は着物ともいい、江戸時代の小袖(こそで)の完成されたもので、直線裁ちの寛衣型一部式である。これを人体の曲線にあわせて、前肩、胸元、ウエスト、ヒップなどのくぼみに補正を行って、静止的和装美と動的和装美とを兼ね合わせた着装をする。小物には半衿(はんえり)、腰紐(こしひも)、伊達締(だてじめ)、伊達巻、帯板、帯枕(おびまくら)、帯揚、帯締、重ね衿などがある。これらは、着くずれを防ぎ、おはしょりの線、衣紋(えもん)の抜き方、胸元の衿の合わせ目の位置、半衿の出し加減、帯を形よく締めることなどに役だつと同時に、和服姿をより華やかに、清楚(せいそ)に引き立てる役目をもっている。和装で胸元をすっきり美しくみせる役目をもつ半衿は、長襦袢の衿に着装前に掛けておき、着装後は取り外して洗濯をし、つねに清潔なものを用いる。足袋もまた、半衿と同様につねに清潔なものを用いることが、和装を美しく整える心構えの一つである。華やかな正装には、古くから二枚重、三枚重を一つ衿に着装する慣習があり、これを受け継いで二枚重にみせかける伊達衿(重ね衿)の準備も必要である。
和装は、礼装、正装、凶服、平常着などで、その材質・色の選択、総合的配色、帯結びの形や大きさなどにまで細心の注意を払わねばならない。和服は衣紋、袖口、振り、身八つ口など開口部が大きいため、ふだん洋装で過ごしている人には着装時寒く感じるだろうが、湿度の高い日本の気候にふさわしいものであり、また日本家屋の、畳の上に座る生活に適したものである。現代の洋風化した生活様式と、日常の活動的生活に活動衣としての洋服を着なれている現代人にとって、和装の複雑な着付や、独特の情緒を要求する着こなしはむずかしくなっている。しかし、礼装や正装を必要とする場では、豪華さと、日本人にもっとも似合う装いとして、現代人も和装に大きく心ひかれている。なお男子の平常着は、袴を省いて角帯または兵児(へこ)帯を締めた着流し姿で、気楽である。
[藤本やす]
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