押し靡ぶ(読み)オシナブ

デジタル大辞泉 「押し靡ぶ」の意味・読み・例文・類語

おし‐な・ぶ【押し×靡ぶ/押し並ぶ】

[動バ下二]
力を加えてなびかせる。
婦負めひの野のすすき―・べ降る雪に宿借る今日し悲しく思ほゆ」〈・四〇一六〉
すべて一様にする。
「軽々しう―・べたるさまにもてなすなるがいとほしきこと」〈・葵〉
(完了の助動詞「たり」を伴い、多く打消しに用いて)平凡である。普通である。
中納言の君、中務などやうの―・べたらぬ若人どもに」〈帚木

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「押し靡ぶ」の意味・読み・例文・類語

おし‐な・ぶ【押靡・押並】

  1. 〘 他動詞 バ下二段活用 〙 ( 「おし」は接頭語 )
  2. ( 押靡 ) むりに力を加えてなびかせる。また、一様になびかせる。
    1. [初出の実例]「印南野(いなみの)浅茅(あさぢ)押靡(おしなべ)さぬる夜のけ長くしあれば家し偲ばゆ」(出典万葉集(8C後)六・九四〇)
  3. ( 押並 ) すべてを一様にする。おしならす。
    1. [初出の実例]「さきにやけにしにくどころ、こたみはおしなぶるなりけり」(出典:蜻蛉日記(974頃)下)
    2. 「花の木どもの散りはてて、をしなへたるみどりになりたる中に」(出典:能因本枕(10C終)四七)
  4. ( 助動詞「たり」を伴って ) 普通である。世間なみである。平凡だ。
    1. [初出の実例]「おしなべたる大方のは、数ならねど」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android