指導者民主主義(読み)しどうしゃみんしゅしゅぎ(英語表記)Führerdemokratie

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「指導者民主主義」の意味・わかりやすい解説

指導者民主主義
しどうしゃみんしゅしゅぎ
Führerdemokratie

M.ウェーバーが『職業としての政治』のなかで提起した概念議会主義理念が大衆化状況とともに破綻し,他方で官僚制化が進化するなかで,ウェーバーは官僚機構を使いこなしうる指導者民主制を選ぶか,派閥支配をもたらす指導者なき民主制を選ぶかの二者択一しかないとし,前者を支持する。だが,ここでの指導者は天職としての政治家,すなわち情熱と責任感と判断力を一身に兼ね備えたカリスマ的資質をもたなければならないとしている。

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世界大百科事典(旧版)内の指導者民主主義の言及

【職業としての政治】より

…彼は,現代において政治を職業に選ぶ者が考慮すべき外的条件として,大衆民主化に起因する政党の官僚制化と指導者選出の〈人民投票的形態plebiszitäre Form〉の発展をあげ,また内的条件として暴力性をはらむ政治の世界における〈責任倫理Verantwortungsethik〉と〈心情倫理Gesinnungsethik〉との深刻な対立をあげる。そこに,官僚制化に抗する可能な選択肢として〈指導者民主主義Führerdemokratie〉を提唱し,情熱と責任との共存という形で二つの倫理の対立が止揚される決断の契機を重視する彼の立場をみることができる。この意味で,同講演とその直前の講演《職業としての学問》とは,ドイツ革命直後の激動期の時事的な関心に規定されながらも,〈合理化〉の進展する時代における理論と実践の意味という,きわめて普遍的な問題を提起しているといえよう。…

※「指導者民主主義」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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