化学辞典 第2版 「捕そく剤」の解説
捕そく剤
ホソクザイ
scavenger
捕獲剤あるいはスカベンジャーともいう.物理化学的反応論において,その反応機構などを明らかにする目的で反応系に加えられる化合物で,種々の反応中間体に対しとくに親和性の大きいものをいう.捕そく剤を加えることによって,中間体はその化合物に捕そくされて,反応機構あるいは最終生成物に変化を生じる.したがって,その捕そく能はなるべく選択性に富むことが必要である.ラジカル捕そく剤,電子捕そく剤,プロトン捕そく剤などが知られており,熱分解,光分解,放射線分解などの反応にしばしば用いられる.一般に,一つの捕そく剤がただ1種類の反応中間体にのみ有効であることは少ないので,捕そく剤の適用およびその結果の解析には注意を要する.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報