精選版 日本国語大辞典 「採卵」の意味・読み・例文・類語
さい‐らん【採卵】
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成熟した親から卵を採ることであるが,受精の過程をも含めることが多い。ここでは水産上の用語として述べる。卵の採り方には自然産卵させる方法と人工採卵とがある。自然産卵は成熟した雌雄を産卵池に収容して自然に産むのを待つが,ホルモン投与や温度,光などの環境条件を操作して産卵時期を調整することもある。また,付着性の卵を産むコイやキンギョでは産卵池に魚巣を入れてこれに産み付けさせる。マダイなどの分離浮性卵はネットで採集する。クルマエビやアワビなどの分離沈性卵は静置して,沈んでいる卵を集める。人工採卵には搾出法(外部から手で圧して卵を出す)と切開法とがあり,前者は繰り返し何年か産卵するニジマス,イワナや,小型魚のアユ,ワカサギで行われ,後者は卵を産むと死んでしまうサケ,ヤマメなどに用いられる。人工採卵のあとには人工授精が必要であり,これには湿導法と乾導法とがある。前者は水中の卵に精液を加える方法であり,後者は乾いた容器の中で卵と精子を混合し,その後で水を加える方法である。受精率は一般に乾導法のほうが高い。
→養殖
執筆者:若林 久嗣
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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