掻撫(読み)かいなで

精選版 日本国語大辞典 「掻撫」の意味・読み・例文・類語

かい‐なで【掻撫】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) ( 「かきなで(掻撫)」の変化した語 )
  2. 物事表面を撫でただけで、その真相を知らないこと。また、そのようなさま。ありきたり。通りいっぺん。
    1. [初出の実例]「かうやうのかいなでにだにあらましかばと、かへすがへすくちをし」(出典:源氏物語(1001‐14頃)末摘花)
    2. 「膂力も亦凡庸(よのつね)ならねば泛々(カイナデ)の敵手(あひて)にあらず」(出典読本・南総里見八犬伝(1814‐42)九)
  3. 妖怪一種。真夜中の厠(かわや)に出て、人の尻を撫でるという。
    1. [初出の実例]「小児は夜分圊(かはや)にゆけば『掻(カ)い撫(ナテ)』といへる妖怪(おばけ)尻を撫に出でけんとて太(いた)く怖るる」(出典:風俗画報‐一五六号(1898)人事門)

かき‐なで【掻撫】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 手、または、それに似た形のものでなでること。
  3. ( 形動 ) 物の表面をなでるばかりで、その中の事を知らないこと。表面ばかりを知って、その深いところを知らないさま。通りいっぺんなさま。かいなで。
    1. [初出の実例]「すべてただ今世に名を取れる人人、かきなでの心やりばかりにのみあるを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)明石)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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