室町後期の画家。号は松雪斎、鑑岳。将軍足利義政(あしかがよしまさ)に仕えた同朋衆(どうぼうしゅう)で、相阿弥(そうあみ)とも称した。真能(能阿弥)の孫、真芸(芸阿弥)の子で、いわゆる三阿弥の一人。祖父、父と同様、将軍家関係の書画・唐物(からもの)の鑑定や座敷飾り、連歌(れんが)など多方面に才能を発揮、作庭にも従事した。唐物奉行(ぶぎょう)として3代の阿弥の仕事の集大成ともいうべき『君台観左右帳記(くんだいかんそうちょうき)』は相阿弥の尽力によるものである。画は牧谿(もっけい)様を慕い、また能阿弥の作風をも継承して阿弥派の画風を完成した。それは柔らかな筆致と濃淡の墨色の変化を巧みに使った湿潤なもので、日本的情感を画面に盛り込むことに成功した。代表作に『瀟湘八景図襖絵(しょうしょうはっけいずふすまえ)』(1513、京都・大仙院)や『山水図屏風(びょうぶ)』(メトロポリタン美術館)などがある。
[榊原 悟]
『衛藤駿著『日本美術絵画全集6 相阿弥/祥啓』(1981・集英社)』
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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