教皇の首位権(読み)きょうこうのしゅいけん(その他表記)Primatus Romani Pontifıcis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「教皇の首位権」の意味・わかりやすい解説

教皇の首位権
きょうこうのしゅいけん
Primatus Romani Pontifıcis

カトリック教会において教皇が全司教の第1位にあること。教皇はキリスト使徒首長と定めたペテロの後継者として,全司教,信徒に対し完全で普遍的な至上権威をもつとされる。その首位権には Papaなどの称号を独占する名誉権のほかに,裁治権として教導,祭祀,司牧,監督,司法,行政などにおける最高権が含まれる。教皇の首位権は東西教会の対立,西方教会の大分裂期における公会議首位説,宗教改革,ガリカニズムなどによってゆさぶられてきた。理論としての教皇首位説は大教皇レオの頃より形をなしはじめ,1439年フィレンツェ公会議においてつかのまの東西教会合同が達成された際採択された勅書に明文化され,公会議を教皇の上におく公会議首位説に対する勝利を収めた。 1870年第1バチカン公会議では教皇不謬性を含むその首位権が教義として採択され,さらに第2バチカン公会議もこれを確認している。

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