日本大百科全書(ニッポニカ) 「数学原理」の意味・わかりやすい解説
数学原理
すうがくげんり
Principia Mathematica
ホワイトヘッドとラッセルの共著になる書物で3巻からなる。1910~1913年刊行(第2版・1927)。その目的は、数学は論理学に還元されるという論理主義のテーゼを立証することにある。このためには、数学的概念が論理学に属する概念から定義できることを示し、数学的命題が論理学の命題から証明できることを示さなければならない。だが同時に、20世紀の初頭に発見された論理的パラドックスを回避する必要があった。そのために表現の論理的階層を区別するタイプの理論が採用されたが、数学上の古典的結果を得るために還元公理とよばれる異論の多い公理の採用を余儀なくされた。このような欠陥にもかかわらず、この書物が20世紀前半の論理学の歴史において果たした役割は、比類のないものである。
[飯田 隆]
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