中国、明(みん)の徐師曽(じょしそう)(1553年の進士)の編纂(へんさん)したもので、詩文の用途(使用目的)別に、その体裁の源流を明らかにし、例文をあげて、制作の基準となる法式を示している。徐師曽より約100年前の明の呉訥(ごとつ)の編纂した『文章弁体』(46巻、外集5巻)に手を加えて84巻(文章綱領1巻、目録6巻、詩文61巻、付録14巻、目録2巻)とした。文章弁体の55類の文体を127類に増し、文章綱領1巻(総論、論詩、論文、論詩余)を巻首につけて、先輩の文学論を選録している。1554年(嘉靖33)の春から70年(隆慶4)秋にかけて編纂し、73年(万暦1)の徐師曽の序をつけて公刊した。わが国では1670年(寛文10)、1852年(嘉永5)の訓点を施した翻刻本があり、1642年(寛永19)序刊の野間三竹の『文体明弁粋鈔(すいしょう)』2巻、1877年(明治10)刊の大郷穆(おおさとぼく)の『文体明弁纂要』3巻は、漢文を学び文をつくる者に文体の要領を簡明に示すものとして愛用された。
[横田輝俊]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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