文体論(読み)ブンタイロン(英語表記)stylistics

翻訳|stylistics

デジタル大辞泉 「文体論」の意味・読み・例文・類語

ぶんたい‐ろん【文体論】

ある作家作品理解のために、その文体上の特徴研究する学問
stylistics》ある言語の文章表現上の諸特性を研究する学問。

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精選版 日本国語大辞典 「文体論」の意味・読み・例文・類語

ぶんたい‐ろん【文体論】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 「ぶんたい(文体)」についての研究。
    1. [初出の実例]「文体論(ブンタイロン)」(出典小説神髄(1885‐86)〈坪内逍遙〉下)
  3. 「ぶんたい(文体)」についての研究。〔文体論の建設(1943)〈小林英夫〉〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「文体論」の意味・わかりやすい解説

文体論
ぶんたいろん
stylistics

文体 styleという言葉は古くから使われてきたが,文体論という研究分野は新しい。文章をいかに書くか,その際守るべき基準,規則はどういうものかといった実用的,技術的な設問は,古くから発せられてきた。いわゆる修辞学 rhetoricがこれであるが,雄弁術から作詩法まで含むこの分野は,すでに古代ギリシアで開拓され,アリストテレスによって体系化されていた。中国でも古来修辞学の書物は多く,ときには煩瑣なまでに細かい文体の分類もなされてきた。しかし,これらはいずれも守るべき規範,あるべき名文をいわば前提としており,そうした手本にのっとるための実際的な訓練,忠告がおもな内容をなしていた。「文体」とは何を意味するのか,あるべき基準よりは,まず現に生きて動いている文体のありさまを見定めようという試みは案外になされなかったのである。「文は人なり」とは,18世紀フランスのビュフォン名文句だが,文体の個性を明確に把握するためには,まず非個性的な一般の言語が前提となる。しかし,この区別さえ体系的に追求されたことはなかった。そこで,スイス言語学者 F.ソシュールによる「ラング (言語) 」と「パロール (言) 」という区別は,新しい文体論のための有効な基盤となり,刺激ともなった。 20世紀に入って言語学はめざましい進展をとげたが,特に文体論と密接にかかわるのは意味論の分野であり,人間の思考と言語表現との関係に対する研究が推し進められ,いわば表現の文法が開拓されると同時に,特に詩人,小説家など個性的表現の特徴を組織的に分析しようとする動きが目立ってきた。前者はソシュールの後継者 C.バイイによってその基礎が築かれ,言語表現を「その情意的内容という観点から研究する」のが文体論だと定義した。つまり,ソシュールのいわゆる「ラング」の文体論であり,これに対して個性的,文学的な文体論はオーストリアのレオ・シュピッツァーを先駆に,おもに文学批評の領域で推し進められ,日本では小林英夫,波多野完治が先駆的開拓者であった。

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百科事典マイペディア 「文体論」の意味・わかりやすい解説

文体論【ぶんたいろん】

言語研究の一部門。ある言語の表現手段を研究する一般的記述的文体論,その手段を個人がどのように選択使用しているかを研究する各個文体論,その歴史的変遷を研究する歴史的文体論などがある。言語学の他の部門に比べて判断の規準に主観的要素が入りやすい。→レトリック

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「文体論」の意味・わかりやすい解説

文体論
ぶんたいろん

文体

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世界大百科事典(旧版)内の文体論の言及

【言語学】より

…これらの諸分野は,それぞれが独自の分野であるとともに,互いに補い合うものでもある。 個人の(あるいは,ある集団の,またはある特定の条件下における)言語使用上の特徴を研究する分野を〈文体論〉(〈文体〉の項を参照)と呼ぶ。主として,特定の作家の文体を研究することが多いが,庶民の言語生活上の文体的なちがいも研究の対象となる。…

※「文体論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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