日本大百科全書(ニッポニカ) 「料理山海郷」の意味・わかりやすい解説
料理山海郷
りょうりさんかいきょう
江戸時代の地方料理書。1749年(寛延2)刊。著者は博望子(はくぼうし)。諸国の名物珍味が書かれているが、分類整理はされていない。桑名時雨蛤(くわなしぐれはまぐり)から菊葉酒(きくようしゅ)まで230の料理が書かれている。『料理珍味集』も同じ著者によって1764年(宝暦14)に『料理山海郷』の後編として出版された。長崎打鯛(うちだい)から玉子蕎麦切(そばきり)まで230の料理法が記されていて、両書とも巻の一から五まで。山海郷の名にふさわしく産地名のついた料理が多いが、珍味集にとくに顕著である。尾張(おわり)(愛知県)の「きしめん」も、『料理山海郷』によると、かなり今日のものに近いことがわかるなどして興味深い。
[小柳輝一]