改訂新版 世界大百科事典 「新民会」の意味・わかりやすい解説
新民会 (しんみんかい)
日韓保護条約締結後の1907年に結成された朝鮮の民族運動団体。安昌浩を中心に梁起鐸,李東寧,李東輝らによって秘密結社として組織された。〈大韓新民会通用章程〉によればその目的は,国民の思想・習慣の革新,教育と産業の振興,国民の団結,そしてそれらを通した〈自由文明国の樹立〉とされた。会員は金九,朴殷植,申采浩,李昇薫らをはじめ,約800名に達したといわれる。中心は新興市民層,知識人層で,その多くはクリスチャンであった。彼らは,各地での講演会や新聞《大韓毎日申報》等を通した啓蒙活動,大成学校・五山学校設立等の教育事業,磁器製造株式会社設立等の実業活動,中国での独立軍基地建設事業など,さまざまな方面で運動を展開し,新民会は当時の愛国啓蒙運動の中枢的機関となった。日韓併合直前に安昌浩ら一部幹部が亡命し,11年寺内正毅総督暗殺陰謀という捏造(ねつぞう)事件でほとんどの会員が検挙され(百五人事件)壊滅した。
執筆者:大塚 嘉郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報