愛国啓蒙運動(読み)あいこくけいもううんどう

世界大百科事典 第2版の解説

朝鮮で20世紀初めに日本の支配に反対し,言論出版教育,民族産業育成などの活動を通じて民族意識高揚と国権回復(独立)をはかった民族運動愛国文化啓蒙運動ともいう。主な担い手は都市知識人,学生,民族資本家などであった。運動は1906年4月の大韓自強会(会長尹致昊)の結成によって本格的に開始された。同会は運動の全国的中心となり,教育・産業の振興により自国富強をはかり独立の基礎を培うという実力培養論を唱導した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

李氏(りし)朝鮮末期(1897年、国号を大韓帝国と改称)の救国運動。日露戦争終結後の1905年11月、日本はロシア、アメリカ、イギリスの承認のもとに朝鮮に「保護条約」を強要して以後、ソウルに置いた統監府を通じて支配を強化していった。これに対して朝鮮の愛国志士たちはさまざまな抗日救国運動を展開した。そのおもなものがゲリラ的な義兵運動と、合法的な愛国啓蒙運動である。後者は、尹孝定(いんこうてい)、張志淵(ちょうしえん)、朴殷植(ぼくいんしょく)ら言論界や教育界の知識人たちが、国権の回復には愛国心の涵養(かんよう)と教育、産業の振興による実力の培養が必要であるとして、全国の津々浦々に私立学校を設立するとともに、大韓自強会、西北学会、女子教育会などの団体を結成して国民の愛国心と教育熱の高揚に努めた運動である。統監府と傀儡(かいらい)化した政府は学会令、私立学校令などでこの運動に対する規制を強め、さらに1910年8月の朝鮮併合と同時にこれらの団体を禁止したため、この運動は挫折(ざせつ)した。

[田口容三]

『姜在彦著『朝鮮の開化思想』(1980・岩波書店)』『朴殷植著、姜徳相訳注『朝鮮独立運動の血史』全2巻(平凡社・東洋文庫)』

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旺文社世界史事典 三訂版の解説

朝鮮において20世紀初頭から本格化した反日文化運動
義兵運動が農村中心であるのに対し,秘密結社新民会が中心となり,都市部で教育・出版・講演などの活動を行った。これに対し日本は激しく弾圧を加え,新民会を寺内朝鮮総督暗殺未遂事件によって崩壊させた。

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