直交座標系の与えられた空間に向きのついている直線gがあるとき,原点Oからgの向きに引いた長さ1の半直線OPがx軸,y軸,z軸の正の向きとなす角をそれぞれα,β,γとすれば,Pの座標(l,m,n)はl=cosα,m=cosβ,n=cosγで与えられ,l2+m2+n2=1が成り立つ。(l,m,n)はgの方向を与え,上のように余弦で表されるので,gの方向余弦と呼ばれる(図)。向きのついた直線g′がもう一つあって,その方向余弦が(l′,m′,n′)ならば,gとg′のなす角をθとすれば,cosθ=ll′+mm′+nn′が成り立つ。向きのついていない直線については,その直線に任意の向きをつけたときの方向余弦をもって,その直線の方向余弦と定義する。したがって(l,m,n)を方向余弦とする直線はまた(-l,-m,-n)も方向余弦とする。点(a,b,c)を通り(l,m,n)を方向余弦とする直線の方程式は,である。
執筆者:中岡 稔
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
与えられた方向の単位ベクトルの正規直交基底に関する成分を、その方向の方向余弦という。すなわち、平面上にゼロでないベクトルaが与えられたとき、直交座標系に関するa/‖a‖の成分(λ,μ)をaの方向余弦という。ここで、‖a‖は、aの長さを表す。したがってa/‖a‖は、a方向の単位ベクトルを表す。aがx軸、y軸となす角をそれぞれα、βとすれば
λ=cosα, μ=cosβ
でありλ2+μ2=1を満たす( )。また、空間にゼロでないベクトルaが与えられたとき、直交座標系に関するa/‖a‖の成分(λ,μ,ν)をaの方向余弦という。aがx軸、y軸、z軸となす角をそれぞれα、β、γとすれば
λ=cosα, μ=cosβ, ν=cosγ
でありλ2+μ2+ν2=1が成り立つ。平面上の直線に対するヘッセの標準形
λx+μy=p
や、空間の平面に対するヘッセの標準形
λx+μy+νz=p
における(λ,μ),(λ,μ,ν)は法線方向の方向余弦にほかならない( )。
[荻上紘一]
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