改訂新版 世界大百科事典 「日〓正宗」の意味・わかりやすい解説
日正宗 (にちれんしょうしゅう)
日蓮系の宗派。日蓮の直弟日興(につこう)を開祖とし,静岡県富士宮市の大石(たいせき)寺を総本山とする。日興は1288年(正応1)身延を離れて駿河に移り,信奉者南条時光の支援をうけて90年富士郡大石ヶ原に大石寺を建て,98年(永仁6)には,大石寺近傍の重須(おもす)に本門寺を創建,門流の拠点とした。その教線は駿河,甲斐,伊豆,陸奥,讃岐,佐渡その他に伸張した。この系統は日興門流,富士門流とよばれ,大石寺,重須本門寺,富士郡西山本門寺,同下条妙蓮寺,小泉久遠寺が富士五山として中山寺院であった。近世にいたり,大石寺26世日寛が大石寺教学を大成した。明治維新後,政府による教団統合の結果,大石寺は勝劣派に属し,1876年富士五山その他は合同して日蓮宗興門派を結成,99年には本門宗と改称したが,翌年大石寺は独立して日蓮宗富士派と称し,1912年に日蓮正宗と改称して現在にいたっている。在家信奉者の団体に創価学会があったが,91年破門。
執筆者:高木 豊
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報