身延(読み)みのぶ

精選版 日本国語大辞典 「身延」の意味・読み・例文・類語

みのぶ【身延】

[一] 山梨県南西部の地名富士川貫流身延山久遠寺(くおんじ)門前町
[二] 謡曲。三番目物。観世流作者不詳。日蓮上人身延山法華経を読誦するたびに聴聞する女がいる。ある時その身の上を尋ねると、自分は実は亡者で法華経の功徳で成仏できたといって報謝の舞を舞う。

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デジタル大辞泉 「身延」の意味・読み・例文・類語

みのぶ【身延】

山梨県南西部、南巨摩みなみこま郡の地名。富士川が貫流。身延山久遠寺くおんじの門前町。

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改訂新版 世界大百科事典 「身延」の意味・わかりやすい解説

身延[町] (みのぶ)

山梨県南西部,南巨摩(みなみこま)郡の町。2004年9月下部(しもべ),中富(なかとみ),旧身延の3町が合体して成立した。人口1万4462(2010)。

身延町北東部の旧町。旧西八代郡所属。人口5530(2000)。天守山地の西斜面から富士川東岸までを占め,常葉ときわ)川,三沢川が西流して富士川に注ぐ。〈信玄の隠し湯〉で知られる下部温泉(単純泉,28~34℃)を中心とした古くからの温泉町で,身延山と富士五湖観光の基地となっている。温泉は外傷などに効能があるとされ,武田信玄傷病兵を治療させたと伝えられる。国民温泉に指定され,長期の湯治客が多い。傾斜地には桑園が多かったが,近年は茶や,シイタケ栽培が行われる。湯之奥にある門西家住宅(江戸中期)は重要文化財に指定されている。JR身延線が通る。

身延町北西部の旧町。南巨摩郡所属。人口4477(2000)。西は富士見山(1640m)を最高峰とする山地で,東を富士川,南を早川が流れる。近世には甲斐と駿河を結ぶ富士川水運の要衝として栄えた。また,富士川沿岸は古くから職人などの出稼ぎが多い地で,長男以外は大工として県外に出る〈河内大工〉の中心地であった。平地が少なく,農業は茶,シイタケの栽培,ナンテンなど観賞用花木の生産を行う。北部の西島地区は伝統的な手すき和紙の産地で,書道用紙を全国に出荷している。近年,工場誘致により,精密機械や電気部品を製造する工場が進出している。南アルプス巨摩県立自然公園に属する富士見山は,野生ザルの集団生息地として知られ,山麓には手打沢温泉(食塩泉,15℃)がある。

身延町南部の旧町。南巨摩郡所属。人口8014(2000)。西の身延山地と東の天守山地の両山麓を占め,中央部を富士川が南流する。中心の身延は日蓮宗総本山身延山久遠(くおん)寺の門前町として発展してきた。山林が約80%を占める山岳地帯で,杉,ヒノキの造林が進められ,近世下山地区には宮大工が多かった。農業は茶やシイタケの栽培,養鶏,養豚が行われる。町内には2ヵ所の工業団地が造成された。町の南西部を糸魚川-静岡構造線が南北に走り,大城渓谷では褶曲した地層の断層が露出している。本国寺,上沢寺,八木沢に自生するオハツキイチョウおよびブッポウソウ繁殖地は天然記念物に指定されている。富士川沿いにJR身延線,国道52号線が通じる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「身延」の意味・わかりやすい解説

身延
みのぶ

山梨県南西部,富士川をはさんで両岸にまたがる地区。旧町名。 1931年町制。 1955年,下山,豊岡,大河内の3村と合体。 2004年9月,下部中富の2町と合併し,新町身延町が発足。東は天守山地,西は身延山地に囲まれ,富士川や支流の谷にわずかに耕地があり,主産業は林業および観光業。中心集落の身延は身延山にある日蓮宗総本山久遠寺の門前町で,宿坊が並び,一帯には日蓮ゆかりの遺跡が多い。久遠寺所蔵の夏景山水図 (絹本著色) は国宝。富士川にかかる大吊橋は身延詣での名所として親しまれている。また,身延山のブッポウソウ繁殖地,北部の上沢寺,本国寺,八木沢にあるオハツキイチョウは天然記念物に指定されている。

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