日吉大社山王祭(読み)ひよしたいしゃさんのうさい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日吉大社山王祭」の意味・わかりやすい解説

日吉大社山王祭
ひよしたいしゃさんのうさい

滋賀県大津市坂本の日吉大社で,毎年 4月12~15日に行なわれる祭り。延暦10(791)年に桓武天皇神輿を奉納して以来の祭りとされ,もとは旧暦 3月午の日から酉の日に行なわれていた。日吉大社には,オオヤマクイノカミ(大山咋神)を中心とする東本宮系の神々と,オオナムチノカミ(大己貴神)を中心とする西本宮系の神々の,合わせて山王七社と呼ばれる神々がまつられている。山王祭は,東本宮系の神々の祭りに続いて,大己貴神の鎮座伝承を再現するかたちで山王七社全体の祭りが行なわれる。まず,4月12日夜の午の神事で八王子山から牛尾社と三宮社の神輿が東本宮に下り,拝殿で東本宮の神輿と担ぎ棒を交差させ,神の結婚とも称される,しりつなぎの神事がある。翌日,樹下神社を加えた東本宮系の神輿 4基が宵宮場(よみやば)に移されて,午後 6時頃から神々の出産を表すともいわれる宵宮落しを迎え,宵宮場から勢いよく担ぎ出された東本宮系の神輿が,いちもくさんに西本宮拝殿に担ぎ込まれる。14日は西本宮で天台座主による五色奉幣と神前読経が行なわれる例祭の神事がある。天孫神社から引かれてきた大榊が西本宮に到着すると神輿渡御となり,神輿は琵琶湖岸の七本柳から船に載せられて唐崎沖にいたり,大己貴神が現れた船の主の居住地とされる大津市膳所からきた船と出会い,粟津御供と大御幣が供えられる。神輿は下坂本の比叡辻から上陸し,神社に還御する。翌 15日は祭りの終わりを告げる酉の神事があり,八所神社から船路の御供が献上される。このほか 13日には甲冑武者姿の稚児が花飾りとともに参拝する花渡りも行なわれる。

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