仏教用語。サンスクリット語のパンチャ・バルナpañca-varaの意訳で、五正色(ごしょうじき)、五大色(しき)ともいう。仏教でいう青(しょう)・黄(おう)・赤(しゃく)・白(びゃく)・黒(こく)の5種類の色。インドの教団では法衣に用いてはならない色とされた。これに対して中間色の緋(ひ)・紅・紫・緑・黄(いおう)を五間色(ごけんじき)という。五色の配列順には諸説がある。この五色を信(しん)・精進(しょうじん)(勤(ごん))・念(ねん)・定(じょう)・慧(え)の五根(ごこん)にあてて、白を信色、赤を精進色、黄を念色、青を定色、黒を慧色とする。密教ではほかにこれらを五智(ごち)、五仏、五字などに配する説がある。この青・白・赤・黒・黄をそれぞれ東方・西方・南方・北方・中央の五つの方位にあてることもあるが、これには異説がある。
[池田練太郎]
兵庫県淡路島の西岸、津名郡(つなぐん)にあった旧町名(五色町(ちょう))。現在は洲本(すもと)市の北西部を占める一地区。旧五色町は1956年(昭和31)都志(つし)町と鮎原(あいはら)、広石、鳥飼(とりかい)、堺(さかい)の4村が合併して成立。町名は瀬戸内海国立公園の景勝地五色浜にちなむ。2006年(平成18)洲本市に合併。中心の都志は、江戸中期に千島列島を開拓した高田屋嘉兵衛(かへえ)の生地で、記念館が設置され、1995年(平成7)には高田屋嘉兵衛公園が開園した。良質なすし米を産し、県下最大の肉牛の飼育地で、酪農、近郊農業が発達し、タマネギ、ピーマン、イチゴなどの生産が多い。また、ノリ、ワカメの養殖も盛んである。鳥飼八幡宮(はちまんぐう)の神輿(みこし)は国の重要文化財。
[吉田茂樹]
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山形県南東部,米沢市南東部にある温泉。吾妻連峰の北東麓中腹,奥羽本線板谷駅の南西約2.5kmに位置する一軒宿の温泉場である。7世紀後半に役行者(えんのぎようじや)が発見したと伝えられる。泉質は重曹泉で,泉温40~45℃。上杉藩の重臣直江兼続の奇病が治った霊湯といわれ,また子宝の湯として知られている。創傷,やけど,皮膚搔痒(そうよう)症,不妊症などに効用があるという。明治末期にオーストリア人によって開かれた古いスキー場があり,付近には1849年(嘉永2)に発見された新五色温泉がある。
執筆者:中川 重
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[ニセコ温泉郷]
ニセコ火山群の山麓一帯の温泉の総称で,俱知安(くつちやん),ニセコ,蘭越(らんこし)の3町にまたがる。火山群の溶岩円頂丘近くには,東西に五色(別称,ニセコ。純食塩泉,80℃),湯本(純食塩泉,76℃),新見(にいみ)(正苦味泉,70℃)の温泉が分布し,山麓中部には山田(別称,比羅夫(ひらふ)。…
…なるほど,繁茂する草木の色から,仰(あお)ぎみる天空の色や,見はるかす大海の色まで,全部いっしょに説明づけるとしたら,これ以外には理屈のつけようもなかったであろう。しかし,社会科学的観点に立つかぎり,〈あお(青)〉の色名によってblueとgreenとの両者を概念させた起源は,7~8世紀に律令国家が成立したとき,中国から制度文物を直輸入し,色彩に関しても五行(ごぎよう)思想に基づいた五色(青,赤,黄,白,黒)を基本的な色とみる考え方が採用されたことに求められなければならない。じっさいに,記紀万葉にあらわれた色名を調査した学者(城戸幡太郎,佐竹昭広,伊原昭など)によると,上代日本語のなかで純粋に色の概念として抽象できていたのは,青,赤,黄,白,黒に限定されるという。…
…淡路国三原郡(現,兵庫県津名郡五色町)の荘園。石清水八幡宮領で,1185年(文治1)同宮領淡路国鳥養荘として史料にみえる。…
※「五色」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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