大山咋神(読み)おおやまくいのかみ

朝日日本歴史人物事典「大山咋神」の解説

大山咋神

日本神話に登場する神。「咋」は「」に当てた文字。神が依り憑く棒を神格化した神とも,山頂境界となる棒を神格化した神ともいわれる。『古事記』によれば,穀物などの実りの神である大年神と天知迦流美豆比売との間に生まれた子で,近江国の日枝の山(大津市日吉大社),また葛野の松尾(京都市西京区の松尾大社)にいて鳴鏑(音を立てて飛ぶ)を持つ神であり,山末之大主神という別名を持つという。『山城国風土記』逸文には,川を流れてきた矢を持ち帰り,それを戸の上に置いておいた娘が夫無くして子を生んだが,その戸の上に置かれた矢は松尾大明神であったとの記述があり,大山咋神,松尾大明神と棒あるいは矢との間に密接な関係があることを示す。

(佐佐木隆)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus「大山咋神」の解説

大山咋神 おおやまくいのかみ

「古事記」にみえる神。
大年(おおとしの)神の子で,母は天知迦流美豆比売(あめしるかるみずひめ)。別名は山末之大主(やますえのおおぬしの)神。子を賀茂別雷(かもわけいかずちの)神とつたえる。比叡(ひえい)の山をまもる神とも京都松尾(まつのお)神社に鎮座して鳴鏑(なりかぶら)をもつ神ともいう。

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精選版 日本国語大辞典「大山咋神」の解説

おおやまくい‐の‐かみ おほやまくひ‥【大山咋神】

記紀にみえる神。大年神(おおとしのかみ)の子。賀茂別雷命(かもわけいかずちのみこと)の父。山末之大主神(やますえのおおぬしかみ)。鳴鏑神(なりかぶらのかみ)大津市の日吉神社や京都市の松尾神社祭神

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世界大百科事典内の大山咋神の言及

【山王神道】より

…山王の号は《二十二社註式》に〈山王号之事,第五十二代嵯峨天皇弘仁十年,始崇敬之〉と見える。元来日吉(比叡)の大神は大山咋(おおやまくい)神が比叡山に鎮祀されたものであるが,延暦年中(782‐806)僧最澄がこの地に延暦寺を創建するに及び別に大三輪神を山上にまつり大比叡神と称し,大山咋神は山下に移された。しかし大山咋神は元来比叡山の地主神(じぬしがみ)であったので天台宗徒は宗派の守護神と仰ぎ,唐の天台山の守神たる地主山王に擬し,この神を山王と称し天台神道の主神とした。…

※「大山咋神」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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