国指定史跡ガイド 「日吉神社境内」の解説
ひよしじんじゃけいだい【日吉神社境内】
滋賀県大津市坂本にある神社。山王権現(さんのうごんげん)とも呼ばれ、日本全国に約3800社ある日吉・日枝・山王神社の総本宮で、西本宮と東本宮を中心に約40万m2の境内を誇り、猿を神の使いとして崇拝することで知られる。東本宮は大山咋神(おおやまくいのかみ)が鎮座する日枝山(ひえのやま)を中心に祭祀が発達したものとされ、神体山を取り巻くように牛尾社と三宮宮(さんのみやぐう)が奥宮社殿を構成している。里宮はこの山麓に形成され、同時に大政所(おおまんどころ)と産屋社(うぶやしゃ)が配置されている。これに対して西本宮は大三輪神(おおみわしん)を祀るもので、宇佐宮(うさぐう)と白山宮(はくさんぐう)を加えて西本宮系三社が成立し、東西あわせて「山王七社(さんのうしちしゃ)」が完成したと思われる。七社の成立年代は不明だが、平安時代に日吉社が天台宗との習合によって延暦寺の守護神として発展すると、東本宮・西本宮ともに山王の号が用いられている。中世を通じ、日吉社には本地堂や塔婆(とうば)、彼岸所などの仏寺施設も設けられ、境内摂社の数も増えたが、織田信長による焼き討ちによって荒廃し、その後、逐次再建されしたものが今日にいたっており、1973年(昭和48)に国の史跡に指定された。JR湖西線比叡山坂本駅から徒歩約20分。