日本イデオロギー論(読み)にほんいでおろぎーろん

日本大百科全書(ニッポニカ)「日本イデオロギー論」の解説

日本イデオロギー論
にほんいでおろぎーろん

哲学者戸坂潤(とさかじゅん)が、急進ファシズム運動の全盛期ともいうべき1935年(昭和10)に出版した論文集。「この書物で私は、現代日本の日本主義と自由主義とを、様々の視角から、併(しか)し終局に於(おい)て唯物論の観点から、検討しようと企てた」と、戸坂自身が書いているように、その最大の特色は、マルクス主義者としての立場を確立した彼が、その理論的・哲学的支柱となっている弁証法的唯物論こそが、唯一の「客観的で科学的」な理論だという見地から、当時の自由主義思想や日本ファシズムのイデオロギーとしての日本主義を批判するとともに、弁証法的唯物論の正当性を力説したところにある。ことに、自由主義者が日本主義に同調するようになった思想内在的な根拠は、現実の世界に一定の意味づけを与えるだけの「解釈の哲学」という方法上の特質にあると主張した点に注目する必要がある。

[栄沢幸二]

『『日本イデオロギー論』(岩波文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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