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弁証法的唯物論 べんしょうほうてきゆいぶつろんdialectical materialism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

弁証法的唯物論
べんしょうほうてきゆいぶつろん
dialectical materialism

マルクス主義世界観の基礎をなす哲学。すなわち運動する物質をその全理論の出発点とし,物質の運動法則,運動形態は弁証法的であるとする説。思惟の弁証法もこの物質の弁証法的運動の反映であるとされる。創始者であるマルクスエンゲルスはともにヘーゲル左派に属し,フォイエルバハ唯物論とヘーゲルの弁証法哲学から思想形成を行なったが,彼らは前者の唯物論が機械的であり,後者の弁証法が観念論的であると批判し,弁証法を唯物論的に,唯物論を弁証法的につくり直した。弁証法的唯物論という名称は G.プレハーノフの命名によるが,この方法はレーニン,スターリン,毛沢東などによって発展させられ,革命の哲学とされてきた。この認識論としての弁証法的唯物論を人間社会の歴史に即して考えたものが史的唯物論といわれる。

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デジタル大辞泉の解説

べんしょうほうてき‐ゆいぶつろん〔ベンシヨウハフテキ‐〕【弁証法的唯物論】

《〈ドイツ〉dialektischer Materialismusマルクスエンゲルスが1840年代にヘーゲル弁証法フォイエルバッハ唯物論を批判的に摂取して創始し、レーニン毛沢東らが進展させた哲学説。自然・社会・歴史の発展過程を、物質的なものの弁証法的発展としてとらえた。唯物弁証法

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百科事典マイペディアの解説

弁証法的唯物論【べんしょうほうてきゆいぶつろん】

ドイツ語dialektischer Materialismusの訳で,マルクス主義哲学の基本的立場。マルクスおよびエンゲルスの用いた語ではなく,主としてロシア・マルクス主義における概念。
→関連項目エンゲルス弁証法マルクス=レーニン主義唯物論

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世界大百科事典 第2版の解説

べんしょうほうてきゆいぶつろん【弁証法的唯物論 dialektischer Materialismus[ドイツ]】

マルクス主義哲学の基本的立場を表す通称。〈唯物弁証法materialistische Dialektik〉という言い方も同義に用いられる場合がある(ただし唯物弁証法とは,元来はヘーゲルなどの観念論的な弁証法と区別して,唯物論的な弁証法という方法論上の特質を表す)。マルクス主義の始祖K.マルクスおよびF.エンゲルスは,自分の哲学を体系的な形では書きのこしていないが,後継者たち,特にドイツ社会民主党のK.カウツキーやロシアのマルクス主義者たちによって,始祖の哲学が体系的な解釈図式で整理されるようになった。

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大辞林 第三版の解説

べんしょうほうてきゆいぶつろん【弁証法的唯物論】

マルクスとエンゲルスにより創出され、レーニンらによって発展させられた唯物論。形而上学的・機械的見方に対し弁証法的であり、観念論に対し唯物論的である。世界は全体として統一をもちながら相互に連関し発展する物質であり、思考や意識もその物質の模写の過程であるとする。弁証法的唯物論が歴史の発展についての見方に適用されて唯物史観となる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

弁証法的唯物論
べんしょうほうてきゆいぶつろん
dialectical materialism英語
matrialisme dialectiqueフランス語
dialektischer Materialismusドイツ語

マルクス主義の根本的な哲学学説として、主として革命成立後の旧ソ連で解釈、整理された思想。弁証法的唯物論の自然への適用が自然弁証法であり、歴史・社会への適用が史的唯物論であるとみなされるか、もしくは、広義の自然弁証法と弁証法的唯物論が同一のものとされて、史的唯物論がその適用とみなされる。「史的唯物論は、弁証法的唯物論の諸命題を、社会生活の現象、社会歴史の研究へ適用させたものである」(スターリン)。つまり、弁証法的唯物論は、自然と社会に共通する根本原理である。[加藤尚武]

観念弁証法と形而上学的唯物論

弁証法的でない唯物論、つまりいわゆる形而上(けいじじょう)学的唯物論と、唯物論的でない弁証法、つまり観念弁証法の両方に対立し、「唯物弁証法」ともいわれる。マルクス、エンゲルスは自分の立場に「弁証法的唯物論」ということばを用いたことはない。このことばは、元来、他の哲学思想に対してマルクス主義の性格を特徴づけることばとしてプレハーノフによって初めて用いられ、レーニンに引き継がれた。デボーリン、ブハーリンによって、一定の解釈のもとに内容的に整えられたのち、スターリンの『弁証法的唯物論と史的唯物論について』(1938)によって、(1)マルクス主義を他の思想から特徴づけるとともに、(2)自然と社会に共通する原理的規定として、(3)簡潔な教条の形に定式化された。このスターリンの考え方はその後、ソ連で発行される諸種の哲学教科書の原型を形づくった。
 スターリンは、唯物論の特徴として、物質、自然、存在はわれわれの意識の外に、意識から独立して存在する客観的現実であり、物質は感覚、観念、意識の源泉であることを強調したうえで、「弁証法的方法の主要な特徴」を、(1)事物、現象を相互に有機的に連関し、相互に制約、限定しあう相関的な全一体とみる。(2)自然を絶えざる運動と変化、更新と発展、発生と崩壊、衰亡としてみる。(3)液体が気体に転化するときのように、自然を量的変化から質的変化に転化する発展、飛躍的転化の形での発展としてみる。(4)矛盾が自然の事物と現象にかならず内在し、古いものと新しいもの、死滅するものと生成するもの、……その闘争が発展過程の内容を構成する、と要約した。これらの特徴づけの細部については、当然、マルクス、エンゲルスの思想との異同がさまざまに指摘されている。[加藤尚武]
『マルクス、エンゲルス著、花崎皋平訳『ドイツ・イデオロギー』(1966・合同出版社) ▽マルクス著、宮川実訳『経済学批判』(青木文庫) ▽マルクス、エンゲルス著、大内兵衛他訳『共産党宣言』(岩波文庫)』

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世界大百科事典内の弁証法的唯物論の言及

【マルクス】より

…《聖家族》(1845),《ドイツ・イデオロギー》(1845‐46)のほか,エンゲルスとの共同執筆も多くあり,それらはいずれも《マルクス=エンゲルス全集》として刊行されている。
[思想]
 マルクスの思想は〈科学的社会主義〉と呼ばれ,哲学的立場は〈弁証法的唯物論〉と呼ばれる。彼はまた〈マルクス経済学〉と呼ばれる経済学批判体系を築いた。…

※「弁証法的唯物論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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