日本紀竟宴和歌(読み)にほんぎきょうえんわか

百科事典マイペディア 「日本紀竟宴和歌」の意味・わかりやすい解説

日本紀竟宴和歌【にほんぎきょうえんわか】

宮中での《日本書紀講読の終了時に宴席で詠まれた題詠和歌の記録。2巻。公卿殿上人を対象に大学寮による〈日本紀講筵〉が始められたのは,嵯峨天皇の時代812年で,以来ほぼ30年程度の間隔で965年まで6度が知られている。それぞれが1年から数年に及ぶ長いものであった。内容は各回の覚書である《日本紀私記》にうかがえる。〈講筵〉終了時には〈竟宴〉が開かれ,その場で《史記》などの漢籍講読の終了時に書中の人物を題材として詠史詩が詠まれていたのにならい,《書紀》に登場する神・天皇・大臣などの名を取り上げて題詠が詠まれた。今日残っているものは,上巻に882年・906年度の42首,下巻に943年度の41首で,万葉仮名ひらがなの表記を併記している。

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世界大百科事典(旧版)内の日本紀竟宴和歌の言及

【日本紀講筵】より

…宴席では,《書紀》中の聖徳帝王,有名諸臣を題として各自が和歌を作り,その詠歌の声に応じて大歌御琴師が倭琴を弾じ,終わって博士,尚復らが禄を賜って退出した。そのときの和歌は《日本紀竟宴和歌》として,延喜,承平度のものがよく残っている。 講筵はほぼ30年間隔で開かれていて,宮廷の人々がみな一生に一度はこれに触れる機会があるように配慮されていたごとくであり,博士はふつう前回に尚復などを務めた者の中から任命され,前後の講究の一貫性も重視されていたようである。…

※「日本紀竟宴和歌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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