日次記(読み)ひなみき

改訂新版 世界大百科事典 「日次記」の意味・わかりやすい解説

日次記 (ひなみき)

日々のできごとを日次を追って書きついでゆく日記。古くは具注暦の暦面に書かれることが多かったので〈暦記〉とも称された。これに対し特定事柄について詳細な記録を残すため書かれたものを〈別記〉という。《政事要略》に引載する790年(延暦9)の追儺の〈外記別日記〉は,すでに平安時代の初めに日次記と別記の並存したことを物語っている。藤原師輔の《九条殿遺誡》にも,毎日起床後まず昨日のことを暦記に注すべきこと,要枢の公事については別に詳しく書きしるして後鑑に備うべきことをおしえている。日次記は《御堂関白記》や《水左記》の自筆原本で知られるように,鎌倉時代までは巻子本の具注暦の2~4行の空白に書きつけたものが多く,書ききれないときは裏面に書きつぎ,これを〈裏書〉といった。また藤原宗忠の《中右記》や後崇光院の《看聞日記》のごとく,記主自身が当初の暦記を整理清書した場合も少なくない。
日記
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の日次記の言及

【日記】より

…日本における最古の例は《正倉院文書》天平18年(746)の断簡であるが,明確に現れるのは平安時代である。
[日次記と別記]
 記録としての日記は,記載の形態・機能により,日次記(ひなみき)と別記に大別できる。日次記は日々の行動や事件を日次を追って書きついでゆく,普通の形の日記である。…

※「日次記」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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