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日の吉凶、禍福、禁忌などを詳しく漢字で書き記した暦書をいい、真名暦(まなれき)ともいう。仮名(かな)暦にも具注があるが、具注暦とはよばない。日本で暦が施行されて以来、明治初年まで、陰陽(おんみょう)寮から手写して発行したもので、その発行部数はごくわずかである。『延喜式(えんぎしき)』(967年施行)によれば、頒暦は166巻で、宮廷・貴族をはじめ、地方の国衙(こくが)に配った。現存する最古の具注暦は正倉院にある746年(天平18)の暦である。具注暦は行間にすきまがあって、その日の日記あるいはメモを記入できるようになったものがある。また裏面を利用して日記をはじめさまざまな記録が書かれていて、歴史の資料として貴重なものであり、重要文化財に指定されているものが少なくない。陽明文庫所蔵の『御堂(みどう)関白記』は国宝に指定されている。
[渡辺敏夫]
『渡辺敏夫著『日本の暦』(1976・雄山閣出版)』
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季節や日の吉凶などを示す暦注が詳しく書かれた暦。すべて漢字で記され,仮名暦に対し真名暦(まなごよみ)といわれる。毎年暦博士によって編纂され,11月1日に朝廷から頒布された。暦首には,年号年次・干支・納音(なっちん)・総日数,歳徳神・八将神などの方位,月の大小,各暦注の禁忌・吉事などの暦例を示す。毎月の月初めには,月建干支や諸神の方位を示し,各暦日には,上部欄外に二十八宿や七曜が朱書きされ,上段・中段・下段にわけて,詳細な暦注が記載されている。漆紙(うるしがみ)文書や木簡などの出土例があり,正倉院文書にも具注暦断簡が残る。具注暦に日記を書きこむ習慣は奈良時代からおこり,「御堂(みどう)関白記」をはじめ古代・中世の貴重な史料になっている。
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…南殿庭上において行ったため,庭立(にわたち)の儀ともいうが,降雨や天皇が出席しないときは,内侍に付して奏進した。《延喜式》等によると,天皇に具注暦(ぐちゆうれき)2巻(6月以前を上巻,7月以降を下巻)を,中宮・東宮にも各2巻を進めるほか,内外諸司に166巻(83部)をわかつ頒暦も行われた。頒暦を受けた内外諸司はさらにその写しを作り,所属の寮司や郡司に分け,年内にそれの配布を終了させる。…
…日々のできごとを日次を追って書きついでゆく日記。古くは具注暦の暦面に書かれることが多かったので〈暦記〉とも称された。これに対し特定の事柄について詳細な記録を残すため書かれたものを〈別記〉という。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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