日鮮貿易(読み)にっせんぼうえき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日鮮貿易」の意味・わかりやすい解説

日鮮貿易
にっせんぼうえき

日本と李氏朝鮮との貿易。朝鮮側の意図は,倭寇対策で,平和的な貿易を目的とした興利船や外交使命をもって来航する使送船を好遇し,もって倭寇を平和的な通交者たらしめんとした。したがって,倭寇の実態と朝鮮側の観察したような日本の政治・社会体制の多元的性格から,日鮮貿易には,将軍,有力守護のみならず,西国の中小領主層,商人,農漁民までの多様な諸階層が参加し,朝鮮側の一元的な対応と著しい対照を示した。 1443年対馬島主との間に歳遣船定約を結んで,諸規定が定まった。貿易品としては,朝鮮からは,虎皮,豹皮,朝鮮人参蜂蜜などのほかに主として衣料が輸出された。日本からの輸出品としては,刀剣屏風などの美術・工芸品もあったが,主として,蘇木,沈香,胡椒象牙などの東南アジア産の染料香料,薬種であった。 1510年の三浦の乱で対馬の朝鮮との関係は一時的に断たれ,12年通交が再開されたが,きわめて限定されたものとなった。

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