精選版 日本国語大辞典 「胡椒」の意味・読み・例文・類語
こ‐しょう ‥セウ【胡椒】
〘名〙
① コショウ科のつる性常緑半低木。南インド原産。インド、ジャワ、スマトラ、南アメリカなどで栽培される。茎は紅紫色を帯び、他の樹木にからんで長さ七~八メートルになる。葉は互生で柄をもち、長さ一〇~一五センチメートルの広卵状楕円形で先はとがる。雌雄異株。初夏、葉と向かいあって白い小さな花を密生した花穂が垂下する。花後、径約五ミリメートルの実を結び褐色に熟する。実には芳香と強烈な辛味があり、乾燥させて調味料に用いるほか、漢方ではマラリア・健胃・駆風の薬として用いる。実は、成熟度や採取後の処理方法の違いによって、グリーンペッパー、白胡椒、黒胡椒に分けられる。ペッパー。
※正倉院文書‐天平勝宝八年(756)六月二一日・東大寺献物帳「胡椒三斤九両 并帒」
② 植物「とうがらし(唐辛子)」の異名。
※多聞院日記‐文祿二年(1593)二月一八日「惣の皮あかき袋也。其内にた子数多在レ之。赤皮のからさ消レ肝了。こせうの味にても無レ之、辛事無類」
③ 植物「おにしばり(鬼縛)」の異名。
④ サンショウの実、または、薬味のこと。主に料理屋で用いる。
[語誌](1)欧州では紀元前四〇〇年頃から知られた。
(2)「胡椒」という名称は、中央アジア経由で中国にもたらされたことから、胡のサンショウ(椒)という意味で付けられた。
(3)日本に伝来した当初は、主に薬種として用いられたが、料理に用いられたこともあるようで、後三条天皇はよく鯖の頭に胡椒を塗って焼いて食べていたと「古事談‐一」にある。
(4)元祿(一六八八‐一七〇四)頃は薬屋で売られる一方、胡椒の粉を売り歩く行商人がいたことが西鶴の「浮世草子・世間胸算用‐二」に見える。
(2)「胡椒」という名称は、中央アジア経由で中国にもたらされたことから、胡のサンショウ(椒)という意味で付けられた。
(3)日本に伝来した当初は、主に薬種として用いられたが、料理に用いられたこともあるようで、後三条天皇はよく鯖の頭に胡椒を塗って焼いて食べていたと「古事談‐一」にある。
(4)元祿(一六八八‐一七〇四)頃は薬屋で売られる一方、胡椒の粉を売り歩く行商人がいたことが西鶴の「浮世草子・世間胸算用‐二」に見える。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報