旧室蘭・新室蘭(読み)きゆうむろらん・しんむろらん

日本歴史地名大系 「旧室蘭・新室蘭」の解説

旧室蘭・新室蘭
きゆうむろらん・しんむろらん

明治時代の初期から中頃までの室蘭郡内の通称名。明治五年(一八七二)以降に札幌本道沿いに新しく市街地(現在の室蘭市街)が形成され、これを新室蘭とよび、現室蘭市北西部にあった本来の室蘭村を旧室蘭とよんだ(新室蘭市史)。本来の室蘭村は近世にはモロランとよばれ、奥蝦夷地に向かう交通の要衝であった。明治六年の「胆振国地誌提要」は新室蘭を「室蘭村」、本来の室蘭村を「元室蘭村」と記している。これより前、札幌本道が計画され、当初は函館から砂原さわら(現砂原町)で渡海して本来の室蘭村に渡り、有珠うす(現伊達市)から札幌に至る本願寺ほんがんじ道路を利用する予定であった。明治五年四月に開拓使の陸地測量長兼道路築造長ワーフィールドが室蘭に来て測量すると、室蘭村経由では距離は短縮できるが、大部分が山間地で、同村は背後地が狭く、風もあり港として不利であることが判明。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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