時局匡救費(読み)じきょくきょうきゅうひ

山川 日本史小辞典 改訂新版 「時局匡救費」の解説

時局匡救費
じきょくきょうきゅうひ

1932年(昭和7)の第63臨時議会の決議にもとづく大規模な公共事業費昭和恐慌による農村疲弊に対処するため,高橋財政下で同年から実施された。国費負担分として約5億5629万円,地方費負担分として預金部地方資金の融通をうけて3億858万円が投入され,道路・港湾の改良治水耕地拡張・改良などの諸事業が実施された。その際,地方団体や各種組合が動員された。34年に軍事費増大のあおりで予算規模が縮小され,同年で打ち切られた。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の時局匡救費の言及

【高橋財政】より

…五・一五事件後,斎藤内閣の蔵相に留任した高橋は,32年度予算を軍備拡張と時局匡救(きようきゆう)の経費を中心とした膨張予算とし,歳計の赤字は歳入補てん公債で賄う積極方針を採用した。時局匡救費は内務省と農林省の所管する土木事業費が中心で,不況下の都市と農村に一時的雇用機会をつくりだして国内需要を拡大させる恐慌対策であったが,増大する軍事費に圧迫されて34年度までの3ヵ年で打ち切られた。高橋は,赤字公債日本銀行引受発行方式を考案した。…

※「時局匡救費」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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