…【金田 章裕】
[歌枕]
《古今集》巻五の紀貫之の歌〈夕月夜小倉の山になく鹿の声のうちにや秋は暮るらむ〉や《小倉百人一首》所収の藤原忠平の歌〈小倉山峰のもみぢ葉心あらばいまひとたびのみゆき待たなむ〉など,古来多くの歌に詠まれている。東麓に藤原定家の山荘時雨(しぐれ)亭の跡という厭離(おんり)庵がある。同庵近くの落柿舎(らくししや)は向井去来の別荘であり,芭蕉はここで《嵯峨日記》を書いた。…
…創建当初の建物には,開山堂と表門,それに秀吉夫妻の像を安置し北政所の遺骸を葬る霊屋(たまや)があり,いずれも重要文化財。東山を背景にした池泉観賞式の庭園は清雅な景趣に富み,山上の茶室,傘亭(からかさてい)と時雨(しぐれ)亭(重文)は伏見城の遺構と伝える。なお,近世の当寺は萩の名所で名高く,文人が遊び,〈たそがれや萩に鼬(いたち)の高台寺〉なる蕪村の名句もある。…
…元三大師堂の阿弥陀如来と不動明王座像(いずれも平安時代)は重要文化財。なお,現寺地は藤原定家の時雨(しぐれ)亭の跡とも伝え,付近に式子(しきし)内親王塚(別名〈定家葛(ていかかずら)の墓〉)がある。定家の内親王への恋心が葛となってその墓に巻きついたという伝承によるもので,謡曲《定家》でこの哀話は名高い。…
※「時雨亭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...