ユングによる分析心理学の用語。〈集合的無意識〉とも訳す。ユングは無意識を〈個人的無意識personal unconscious〉と〈普遍的無意識〉に分けて考える。前者は個人の意識内容が強度を失って忘却されたものや,意識によって抑圧された内容など,個人的色彩が強いのに対して,普遍的無意識はそれよりも深く,人類に共通の普遍的な層である。S.フロイトの無意識概念がもっぱら前者の特質を強調するものであったので,ユングの説はいれられず,両者の分離の一因ともなった。このような差が生じた原因の一つは,フロイトが神経症患者を,ユングが統合失調症患者を多く診断していたためといわれる。ユングは統合失調症者の幻覚,妄想の内容が全世界に普遍的な神話的なイメージときわめて高い類似性をもつという事実を見いだし,そのことから普遍的無意識の存在を主張するようになった。彼はその内容として元型の存在を仮説したのである。
→無意識
執筆者:河合 隼雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…なぜなら世界の神話に共通する内容のある部分は,そういう神話をまったく知らぬ人が見る夢の中にもしばしばよく似た形で現れることが,深層心理学者たちによって注意されている。この事実に注目した,スイスの心理学者C.G.ユングは,人類に共通する〈普遍的無意識〉collective unconsciousの存在を想定した。そして夢や神話やさらにおとぎ話などにも共通して見いだされる表象や筋は,彼が,〈元型archetype〉と呼び,〈ペルソナpersona〉〈影shadow〉〈アニマanima〉〈アニムスanimus〉〈自己self〉〈太母Great Mother〉など,いくつかの類型に分類を試みている,この〈普遍的無意識〉の働きによって,生み出されると考えた。…
※「普遍的無意識」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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