翻訳|archetype
ユングによる分析心理学の用語。〈原型〉〈太古型〉などとも訳される。ユングは20世紀の初頭,統合失調症者に対する心理療法的な接近を試み,統合失調症者の幻覚や妄想の内容を,できるかぎり理解しようと努めた。彼は統合失調症者の幻覚や妄想が,正常者の夢や空想,神話・伝説・昔話などときわめて類似性の高いイメージや主題を持つことに気づいた。このような類似が時代や文化の差を超えて普遍性をもつのは,人類共通の普遍的無意識が存在するからと考え,そのようなイメージをブルクハルトの用語を用いて,〈原始心像urtümliches Bild〉と呼んだ。その後,そのような普遍性の高いイメージを産出する普遍的無意識内に,元型の存在を仮定するようになった。元型はあくまで仮説的概念で,それ自身を意識化することは不可能である。それは先験的に与えられた表象可能性である。ユングの重視した元型には,影,アニマ-アニムス,自己,太母などがある。
執筆者:河合 隼雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…この事実に注目した,スイスの心理学者C.G.ユングは,人類に共通する〈普遍的無意識〉collective unconsciousの存在を想定した。そして夢や神話やさらにおとぎ話などにも共通して見いだされる表象や筋は,彼が,〈元型archetype〉と呼び,〈ペルソナpersona〉〈影shadow〉〈アニマanima〉〈アニムスanimus〉〈自己self〉〈太母Great Mother〉など,いくつかの類型に分類を試みている,この〈普遍的無意識〉の働きによって,生み出されると考えた。 たとえば,ユング派の心理学者たちによれば,心理的成長の過程で人間は,それまで無意識にいわば埋没したような状態にあった意識を自立させて,他と明確に区別される〈自我ego〉として確立させる必要がある。…
…しかし単なる気象現象や光学的錯覚として説明しきれない事例が数多くあることもまた事実である。 なお,スイスの精神病理学者ユングは,その著書《現代の神話》(1958,邦訳《空飛ぶ円盤》)の中で,人間の心の最下層にある人類共通のイメージ内容(元型)がUFO実見報告の上に反映していると主張し,その形状(円,楕円など)を全体性のシンボルと考えた。【柴野 拓美】。…
…この時期に彼自身が体験した〈無意識の対決〉を基礎として,それに学問的検討を加えることによって,彼独自の分析心理学の体系が確立される。 ユングは精神病者の幻覚や妄想が古来からある神話,伝説,昔話などと共通の基本的なパターンの上に成り立っていることを認め,〈元型〉という考えを19年に提唱した。彼は人間の無意識は個人的無意識と普遍的無意識の2層が存在し,後者はひろく人類に共通であり,そこに元型が存在すると仮定した。…
※「元型」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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