書紀集解(読み)しょきしっかい

改訂新版 世界大百科事典 「書紀集解」の意味・わかりやすい解説

書紀集解 (しょきしっかい)

日本書紀》の江戸時代における代表的注釈書の一つ。尾張藩士の河村秀根(ひでね)とその2子,殷根(しげね),益根(ますね)の共著。1785年(天明5)から約20年かかって刊行。31巻20冊。《日本書紀》は古来伝承をそのまま漢文にしたのではなく,中国の古典仏典の文章を利用したとして,多数の出典を挙示した。今日ではそれらの大半原典の直接利用でなく,《芸文類聚(げいもんるいじゆう)》のような類書からの孫引きであることが判明しているが,最初の本格的な出典研究である。
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旺文社日本史事典 三訂版 「書紀集解」の解説

書紀集解
しょきしっかい

江戸後期,河村秀根 (ひでね) の著した『日本書紀』の研究書
子の殷根 (しげね) ・益根と協力して著したもので20巻に及ぶ。中国訓詁学の方法をとり入れて,漢籍の出典を多くあげ,中世以来の『日本書紀』研究をさらに前進させた。

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世界大百科事典(旧版)内の書紀集解の言及

【河村秀根】より

…藩主徳川宗春に出仕のかたわら,兄秀穎(ひでかい)とともに神道・国学を学び,《日本書紀》などの古典を研究,また稲葉通邦らと律令講読会を組織。代表的著書《書紀集解(しつかい)》は秀穎と子益根(ますね)の協力により,没後に完成。ほかに《続日本紀集解》以下の六国史の注釈,《神祇令集解》などがある。…

※「書紀集解」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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