最近の食道異物の傾向

六訂版 家庭医学大全科 「最近の食道異物の傾向」の解説

最近の食道異物の傾向
(食道・胃・腸の病気)

 岩田らによる東海地区7大学の1985~1994年までの統計では、食道異物の患者さんに男女差はなく、年齢では5歳以下と70歳以上に多く、全体の3分の1~2分の1を占めていました。

 異物の種類は、薬の包装(PTP)、硬貨、食物片、魚の骨、義歯(ぎし)が多くみられましたが、おもちゃ、ボタンなどもあり、多種多様でした。

 最も多いのがPTPで、60~80歳に多く、高齢になるほど女性が多い傾向にありました。このなかには、PTPを飲んだのに気づかず、食事を誤嚥(ごえん)したり、咽頭痛、胸痛などが出現したため病院へ受診し発見される報告もありました。

 硬貨は10歳以下の小児にみられ、とくに5歳以下に多い傾向でした。義歯は50~70歳に多く、食事中に飲み込んでしまうことが多くみられました。魚の骨は女性に多く、50歳以上に多い傾向でした。最近の報告もほぼ同様の傾向でした。

 したがって、小児のまわりには、口のなかに入ってしまうようなおもちゃや硬貨は置かないこと、高齢者は、PTPは一つ一つ切り離さないで、錠剤をPTPから出してのむようにすること、外れやすい義歯は接着剤を使用すること、モチやガムなど歯にくっつきやすいものはなるべく食べるのを避けるようにすることなど、日ごろから注意する必要があります。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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