医薬品を一定の形状に圧縮して製したものをいう。錠剤には圧縮錠剤と湿性錠剤の二つがある。湿性錠剤は、原料を混合し、湿らせて型に入れ成型し、乾燥して製する錠剤で、現在ではほとんどみられない。圧縮錠剤は、打錠機の進歩とともに急速に発展してきている。圧縮錠剤の製法には湿式法、乾式法、直打法、セミ直打法の4種があり、セミ直打法が多くなってきている。
錠剤の特徴としては次のようなことがあげられる。
(1)服用に便利である。ただし、乳幼児や高齢者には不適当である。
(2)服用量を正確に保持できる。
(4)持効性製剤ができる。
錠剤の種類には、その用途から、内用を目的とした内服錠、口腔(こうくう)錠、沸騰錠、チュアブル錠、調剤錠と、外用を目的とした溶解錠、腟(ちつ)錠、そして注射用錠剤である注射錠、試薬を錠剤とした試薬錠がある。内用の主たるものは内服錠であり、服用しないものとして口腔錠とトローチがある。口腔錠は口腔粘膜からの薬物の吸収を目的とし、舌下錠とバッカルの二つがある。沸騰錠は水に入れて発泡させるもの、調剤錠は現在ほとんど使用されていない。チュアブル錠はよくかんで砕いて服用する。注射錠は植え込み錠(ペレット)ともいい、ホルモン剤があったが、現在は使用されていない。また、錠剤を剤皮の有無とその種類、目的から分類すると、裸錠(素錠)、糖衣錠、膠衣(こうい)錠、フィルムコーティング錠、腸溶錠、徐放錠、持効錠、復効錠(繰り返し効果の現れる錠剤)、遅効錠、多層錠(積層錠)、有核錠(親子錠)などがある。
[幸保文治]
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[製剤の種類]
剤形は《第十改正日本薬局方》の製剤総則に26種記載されているが,局方外にも数種の剤形がある。 内服する,つまり経口投与される製剤は,エキス剤,エリキシル剤,カプセル剤,顆粒剤,丸剤,懸濁剤,細粒剤,散剤,酒精剤,錠剤,シロップ剤,浸剤・煎剤,チンキ剤,芳香水剤,リモナーデ剤,流エキス剤である。よく用いられる錠剤,カプセル剤を例にとると,服用後,消化管内において崩壊→分散→溶出のプロセスを経て,消化管粘膜で吸収される。…
…この〈使用に適した形〉にすることを製剤加工といい,製剤加工したものを剤形と呼ぶ。その種類は,錠剤,注射剤,座剤,軟膏剤,チンキ剤,トローチ剤等,日本薬局方に規定されているものだけで27種類もある。さらに錠剤には,裸錠,糖衣錠,多層錠,有核錠,腸溶錠等がある。…
※「錠剤」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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