有害指定図書(読み)ゆうがいしていとしょ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「有害指定図書」の意味・わかりやすい解説

有害指定図書
ゆうがいしていとしょ

青少年の健全な育成に悪影響があるとの判断に基づき,地方公共団体の青少年保護育成条例によって規制対象に指定された本。有害図書,不健全図書ともいう。過激な性描写,残虐な表現,自殺犯罪を誘発するおそれのある内容を含んだまんが(コミック),雑誌ムックなどの出版物のほか,自治体によってはアニメーションソフトウェアやコンピュータソフトウェアなども対象にしている。指定を受けた本は 18歳未満に対して販売,配布,閲覧が禁じられる。規制が全国的に拡大したのは,1990年に和歌山県田辺市の主婦が起こしたポルノコミック追放運動に端を発するとされる(→ポルノグラフィー)。青少年条例を制定して有害図書を規制する地方自治体が相次いだことをうけて,出版社側も連載休止などの自主規制とともに販売方法の検討を行なった。日本書籍出版協会日本雑誌協会などで組織する出版倫理協議会は,成人向けまんがにはマークを付与するよう指導している。さらに書店店内における年齢制限の明確な表示,年齢確認のための身分証明書の提示などの強化策も施された。しかし一方で著作者や出版社側からは,表現の自由を規制するものだとする反対論も根強い

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