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青少年保護育成条例 せいしょうねんほごいくせいじょうれい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

青少年保護育成条例
せいしょうねんほごいくせいじょうれい

青少年の保護と健全育成を目的とし青少年の逸脱行動を禁止し,また青少年にとっての有害な環境を浄化するために制定されている地方公共団体の条例の総称。ほぼすべての都道府県において制定されており,有害な図書などの販売規制(→有害指定図書),みだらな性行為(いわゆる淫行)の禁止,夜間外出の制限などが共通の内容となっている。規定に明確性を欠く場合があることや,各条例により規制の内容や違反行為に対する刑罰の重さがかなり違うことなどに関して批判的な意見もある。(→青少年教育青少年問題

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デジタル大辞泉の解説

せいしょうねんほごいくせい‐じょうれい〔セイセウネンホゴイクセイデウレイ〕【青少年保護育成条例】

青少年の保護育成、そのための環境の整備などを目的として地方公共団体が制定する条例。内容はそれぞれの条例で異なるが、有害な図書・映画・広告物の指定、猥褻(わいせつ)行為などのための場所の提供・周旋の禁止などを定めている。青少年健全育成条例
[補説]都道府県では長野県を除く46都道府県で制定されている。

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百科事典マイペディアの解説

青少年保護育成条例【せいしょうねんほごいくせいじょうれい】

青少年(おおむね18歳未満)の健全育成のために,地方自治体青少年に有害な環境を排除する意図で定めた諸条例の通称。1951年和歌山県で制定されたのが最初で,現在ではほとんどの都道府県にある。

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世界大百科事典 第2版の解説

せいしょうねんほごいくせいじょうれい【青少年保護育成条例】

青少年(18歳未満)の健全な育成をはかるため,これを阻害するおそれのある行為や環境を規制する地方自治体の条例。1950年5月の〈図書による青少年の保護育成に関する岡山県条例〉が始まりで,その後全国に波及した。97年8月現在,長野県を除く46都道府県で制定されている(川崎市長野市等の市町村でも制定しているところがある)。有害な行為・環境の規制といっても,出版物の規制が重点だったため,当初から言論・出版の自由との関係で論議を呼び,特に緊急指定や包括指定などの措置が憲法の禁止する検閲に該当するおそれがある,とされてきた。

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大辞林 第三版の解説

せいしょうねんほごいくせいじょうれい【青少年保護育成条例】

青少年の保護育成、そのための環境整備などを内容として、多くの地方公共団体により制定されている条例の総称。有害な図書類の指定、みだらな行為のための場所の提供の禁止などを定める。青少年健全育成条例。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

青少年保護育成条例
せいしょうねんほごいくせいじょうれい

青少年(18歳未満の者)の保護、健全育成、保護育成、愛護、環境整備、環境浄化などを目的として地方公共団体(自治体)によって制定される条例。青少年保護条例、青少年健全育成条例、青少年条例などともよばれている。環境浄化条例と称している県もある。[堀部政男]

沿革

この種の条例は、都道府県では、1950年(昭和25)前後から関心が寄せられ、1950年代には12の道府県で制定された。1960年代には19の都県で、また1970年代には13県で、さらに1980年代には2府県で制定された(2011年3月の時点で、都道府県で未制定は長野県のみ)。これら以外に基礎自治体で青少年保護育成条例を制定しているところもある。なお、1970年代中葉に雑誌自販機などが普及したのに伴い、雑誌自販機規制も行われるようになった。本条例とは別に、雑誌自販機などを規制の対象とする条例を別に定めている自治体もある。また、1990年代中葉からテレホンクラブ(テレクラ)などの営業を条例で規制する議論が起こり、それをも条例の対象にするものが出てきた。さらに、淫行(いんこう)を規制する規定も設けられており、その場合には、青少年保護育成条例というよりも淫行条例とよばれるのが通例である。近年、フィルタリング(インターネット上のウェブページで有害なものがないかを判断し、アクセスを制御すること)の普及徹底に向けた条例改正が行われる例も出てきている。広島市、兵庫県、石川県、埼玉県等では改正条例が施行され、東京都、神奈川県、静岡県、京都府等で条例化が検討されている。[堀部政男]

規制事項

規制事項は、それぞれの条例で異なっているが、内閣府のまとめによると、おおむね次のような事項に整理されている。
(1)有害図書等の制限 有害文書図画の販売等制限、有害興行等の観覧の制限、有害広告物に対する措置命令、有害玩具(がんぐ)の販売制限。
(2)自販機の制限 有害文書図画等・有害玩具・衛生用具の販売制限。
(3)健全育成を阻害する行為の規制 みだらな性行為およびわいせつ行為の制限、場所の提供または周旋の禁止、深夜外出等の制限、古物等買受および質受等制限、有害薬品類の販売等制限、深夜における興行場等への立入制限、金銭の貸付等の制限、射幸心誘発行為の禁止(有害遊技制限)、危険物所持の禁止、飲食店等への立入禁止、風俗営業所内への立入禁止、喫煙および飲酒の禁止、有害施設等への入場規制、いれずみの規制、非行誘発助長行為の防止。
(4)出会い系喫茶営業に対する規制 営業の届出義務、営業禁止区域の設定、青少年の入場禁止、「青少年入場禁止」の表示義務、広告および宣伝の規制、勧誘行為の禁止、従業員名簿の備え付け義務、立入調査。
(5)インターネット上の有害情報に係る規制等 「携帯電話事業者等、インターネット接続事業者、インターネット接続端末を公衆の利用に供する事業者、インターネット接続機器製造・販売事業者」のフィルタリング提供義務等、サーバ管理者(情報発信者含む)の閲覧防止努力義務等、保護者の青少年への有害情報閲覧防止努力義務等。
(6)その他 モーテル設置営業の規制、学校周辺の旅館等に対する勧告、旅館業を営む者の届出、優良興行および図書の推奨、興行者等の自主規制、立入調査。
 なお、青少年保護育成条例は、表現の自由、営業の自由、財産権、私生活などを規制する側面をもっているので、違憲論を含むさまざまな議論が行われている。[堀部政男]

情報環境の劇的な変化と青少年インターネット環境整備法の制定

青少年にかかわる情報環境は、当初は、地域性が強く(ローカル性)、地方公共団体が果たす役割も大きかった。ところが、日本では、1990年代中葉からインターネットが爆発的に普及し、情報環境は全国的になってきた(ナショナル性)ばかりでなく、国境を越えて世界的広がりをもつようになった(グローバル性)。そして、この情報環境の劇的な変化は、2008年(平成20)6月に、国会において「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」(青少年インターネット環境整備法)の成立をもたらした。青少年インターネット環境整備法は、国および地方公共団体が、青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策を策定し、それを実施するために、次のような「基本理念」を規定している(同法3条)。
(1)青少年自らが、主体的に情報通信機器を使い、インターネットにおいて流通する情報を適切に取捨選択して利用するとともに、適切にインターネットの情報発信を行う能力を習得させる。
(2)青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの性能の向上および利用の普及、青少年のインターネットの利用に関係する事業者による、青少年が青少年有害情報の閲覧をすることを防止するための措置等により、青少年が青少年有害情報を閲覧する機会をできるだけ少なくする。
(3)自由な表現活動の重要性および多様な主体が世界に向け多様な表現活動を行うことができるインターネットの特性に配慮し、民間における自主的かつ主体的な取組みが大きな役割を担い、国および地方公共団体はこれを尊重する。[堀部政男]

自治体の責務認識と意識向上の必要性

青少年インターネット環境整備法は、国および地方公共団体が、前述のような基本理念にのっとり、青少年が安全に安心してインターネットを利用することができるようにするための施策を策定し、実施する責務を有することを、明文化している(同法4条)。
 前述したように、青少年を取り巻く情報環境は、ローカルからナショナルへ、ナショナルからグローバルへと拡大してきている。このグローバル性を踏まえて、経済協力開発機構(OECD)や国際電気通信連合(ITU)などの国際機関においては、青少年のインターネット環境の整備が重要視されている。OECDでは、オンライン上の青少年保護に関する理事会勧告に向けて検討が行われている。また、ITUでは、児童オンライン保護(Children Online Protection:COP)行動計画を積極的に推進している。
 このことは、日本では、ほとんど認識されていないが、とくにグローバルな動向に注目し、そのなかで、日本の国または地方公共団体が何をすることができるか、また、何をなすべきかについても検討しなければならない。とくに自治体は、インターネットと青少年の問題について役割を果たそうとして、青少年保護育成条例の改正論議を行っているが、ここで明らかにしたように、その責務の範囲を認識し、グローバルな視点について意識の向上に努めるとともに、条例の限界(憲法94条および地方自治法14条)についても認識する必要がある。[堀部政男]
『奥平康弘編著『条例研究叢書7 青少年保護条例 公安条例』(1981・学陽書房) ▽清水英夫・秋吉健次編『青少年条例――自由と規制の争点』(1992・三省堂) ▽佐藤文哉編『刑事裁判実務大系3 風俗営業・売春防止』(1994・青林書院) ▽性の権利フォーラム編著『「淫行条例」の疑問――少女売春はなくせるのか!?』(1996・現代人文社) ▽石川正興・曽根威彦・高橋則夫・田口守一・守山正著『少年非行と法』(2001・成文堂) ▽堀部政男著「青少年インターネット環境整備法と自治体の役割――グローバルな視点を踏まえた議論の必要性」(『自治体法務研究』2010年夏号所収・ぎょうせい)』

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