有封社(読み)ゆうふうのやしろ

改訂新版 世界大百科事典 「有封社」の意味・わかりやすい解説

有封社 (ゆうふうのやしろ)

正しくは〈うふのやしろ〉と読む。古く封戸(ふこ)を有した神社のこと。封戸は国家より施入され,租,庸,調,雑役をその神社に納め,神戸(かんべ),神封戸とも呼ばれた。その起源は明らかでないが,古代神祇行政の整備とともに確立し,《新抄格勅符抄》に806年(大同1)当時,約170社4876戸の存したことを記している。のち鎌倉幕府の《御成敗式目》のなかにも,この語がみられるが,当時はすでに衰退の期であった。
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百科事典マイペディア 「有封社」の意味・わかりやすい解説

有封社【うふのやしろ】

古代日本で朝廷から寄進された封戸(ふこ)(神戸(かんべ))を有する神社。崇神(すじん)天皇7年に制定されたというが明確でない。封戸からは神社経営の労働力や,経済基盤を得ていた。9世紀初頭,全国に約170社があり,5000戸弱の封戸があった。封戸を領さないものを無封社(むふのやしろ)という。

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世界大百科事典(旧版)内の有封社の言及

【有封社】より

…正しくは〈うふのやしろ〉と読む。古く封戸(ふこ)を有した神社のこと。封戸は国家より施入され,租,庸,調,雑役をその神社に納め,神戸(かんべ),神封戸とも呼ばれた。その起源は明らかでないが,古代神祇行政の整備とともに確立し,《新抄格勅符抄》に806年(大同1)当時,約170社4876戸の存したことを記している。のち鎌倉幕府の《御成敗式目》のなかにも,この語がみられるが,当時はすでに衰退の期であった。【鎌田 純一】…

※「有封社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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