日本大百科全書(ニッポニカ) 「新抄格勅符抄」の意味・わかりやすい解説
新抄格勅符抄
しんしょうきゃくちょくふしょう
古代の法令集。『新抄格勅符第十巻抄(しんしょうきゃくちょくふだいじっかんしょう)』の略称。現存1巻。編者、成立年不明。内容は、966年(康保3)書写という奥書様の1行を境に前後に分かれ、前半は神封(しんぷう)部・寺封(じふう)部・諸家封部、後半は999年(長保元)・1001年の2官符からなる。内題から、まず神事(寺)・諸家の封戸(ふうこ)に関する806年(大同元)の牒(ちょう)があり、その抄出に追加・削除が行われ、後半の2官符が加えられ現存の形になったと推測されている。率川(いさかわ)神から益救(やく)神に至る170社の神戸数、大宰観音寺(だざいかんのんじ)から東大寺に至る24寺の封戸数などの具体的な独自史料を多く含む。
現伝の諸本はすべて「醍醐報恩院(だいごほうおんいん)所蔵古本」を書写したものである。『新訂増補 国史大系27』に所収。
[西宮秀紀]
『飯田瑞穂著「新抄格勅符抄」(『古代史籍の研究 中』所収・2000・吉川弘文館)』