日本大百科全書(ニッポニカ) 「有毒菌類」の意味・わかりやすい解説
有毒菌類
ゆうどくきんるい
ヒトや家畜などに対して有毒な物質をもつ菌類をいう。広義には有毒な細菌を含めるが、狭義には有毒キノコだけをさす。通常は有毒な子嚢(しのう)菌類や担子菌類に属する菌類をいう。子嚢菌類に属するものにはコウジカビAspergillus、アオカビPenicillium、アカカビFusarium、バッカクキンClavicepus purpureaがある。これらの生産する毒素をマイコトキシンmycotoxinまたはかび毒といい、慢性・急性の中毒の原因となる。担子菌類に属する菌類は、いわゆる毒キノコとよばれるもので、テングタケの仲間(シロタマゴテングタケ、ドクツルタケ、テングタケ、ベニテングタケなど)、ツキヨタケ、ドクササコ、イッポンシメジ、クサウラベニタケ、ニガクリタケ、カキシメジ(マツシメジ)、ニセクロハツ、シビレタケ、ワライタケ、ドクアジロガサなどがある。
日本で中毒例の多いキノコにはツキヨタケがあり、死亡例の多いキノコにはテングタケの仲間がある。
[曽根田正己]